第17話 インフォメーションテクノロジー部の準備室
「先輩、話って何ですか?」
部室の準備室に呼び出されたヒロ。
呼び出したのはカレー愛好会の会員でもあるインフォメーションテクノロジー部の先輩だ。切れ長の目にストレートボブが涼しげな知的美人だ。
「貴方と桜子さんとの関係についてよ!」
「な!」
いきなり確信をつかれて動揺を隠しきれない。
「貴方、桜子さんにプロポーズする気はあるの? 知ってると思うけど桜子さんはモテるわよ。私の学年でも話題だし、もっと上級生の間でもね」
「………」
知ってた。知っていたけれど特に行動出来ていない。
「幼馴染で同じクラスで隣の席だからって安心していたらダメよ。上級生だけでなく姉妹都市の御曹司たちの中にも桜子さんを狙っている方はいるのよ」
先輩がクイッと眼鏡を直しながら畳み掛けてくる。
「………」
「領主の次男や三男だけでなく経済界の御曹司たちの間でも話題ね」
先輩の眼鏡が光る。
「桜子さんは可愛い上に性格が素直で、血筋も育ちも良いわ。しかも継承する領地は世界的大都市の武蔵領。領地の経営に腕を振るってみたい世界中の領主の次男や三男が桜子さんの伴侶の座を狙っているのよ」
改めて言葉にされると胸に突き刺さる。握り締めたヒロの拳が震える。
「桜子さんのお婆さま、
「そんなことは!」
「行動するのね?」
「………」
途端に大人しくなるヘタレなヒロだった。
「慌てて無計画に行動するべきじゃないわ」
「この様子では無理に行動したら取り返しのつかない失敗をしそうね」
書架の影からカレー愛好会の縦ロール先輩とショートヘア先輩たちが現れた。ヒロが猛禽類と例えた先輩たちが勢揃いだ。
「ガッチャ…」
怯えたテックンがヒロの制服を掴んで密着する。
「テックンを怖がらせないでください」
「私たちが黙って見ていたら貴方ふられるわよ」
「想像以上にヘタレだったわね」
縦ロール先輩とショートヘア先輩が容赦ない。
ヒロは皇太子妃の座を狙う猛禽類先輩たちにガッチリとロックされたことを悟った。
以後、ヒロは先輩たちのアドバイスに従うことになる。
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