矢代美雪の食卓

黒いもふもふ

第1話 一人暮らしは初めてです

――人間はどんな味がするんだろう


 はじめて興味を持ったのはいつだったかなんて覚えていません。ただずっと気になっていました。

 機会があれば試してみたいという気持ちはありましたが、豚を殺して肉を食べるのとはわけが違うのです。夢見ていても、絶対に無理だって諦めてることは誰だってあるはず。私の場合はそれがカニバリズムでした。



 私は随分運が良いようでした。地方の大学に通うため、一人暮らしをするとなったら、親戚が持っている空き家を貸してくれました。一人暮らしにはずいぶん広い平屋の少し古い家。

 そういえば、地下室がある場合は平屋でいいのでしょうか。ここの持ち主だった人が楽器が趣味だったらしく、そのための防音室を地下に作ったんだそうです。ただ今は物置になってしまっています。親戚からは適当に処分してくれて構わないと言われていますし、そのうち掃除しようかなと思います。

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