XIIアース(トゥエルブアース)

ジョンブルジョン

第0話 プロローグ

 惑星XII(トゥエルブ)アース。

 それがこの星の正式な名前。

 まあ、誰も呼んで無いけどね。

 大体「アース」とか「この星」とか好き勝手呼んでるよ。

 長ったらしいんだよ、トゥエルブアースなんてさ!


 XIIと言ってるけど別に12番目の星って訳じゃ無いのがミソ。

 むかーし昔今から200年位前に、人が住める星を探すため、宇宙にほっぽり出された奴らが居たのさ。

 そいつらが乗せられた移民船団の12番目って事。

 だからXII。

 他の船団がどうなったかって?

 さーねー、運が良ければアタシらみたいに移住可能な星を見つけただろうし、そうじゃ無きゃ今も宇宙の果てを彷徨ってるんじゃ無いかね?


 そう、アタシ達の先祖は運が良かったんだよ。

 星の大半は砂漠に覆われ、年がら年中砂嵐が吹き荒れ、飲み水は地下から辛うじて汲み上げる事が出来る程度。

 作物は荒れた大地でも育つ様に品種改良した芋が何とか育ってる。

 「ウシ」や「ウマ」なんかの原住生物も居るから肉には困らないね。

 ただ、まあ狩るにはすこーしばかりコツがいるのは確か。

 別にそいつらが凶暴って訳じゃ無いよ。

 他にね、居るんだよ。

 おっかなーい、デカいムシがさ。

 アタシらはワームって呼んでるね。

 え? 知ってる? そりゃそーか。


 そのワームは手も足も目も耳も無いくせに、狩をしてると突然砂の中から飛び出して「ウシ」も「ウマ」も「アタシら」も一飲みにして行くのさ。

 

 そんなロクでも無い星だけど、やっぱり運が良かったと言えるんだろうね。

 少なくとも氷付けのまま永遠に宇宙を彷徨い続けるなんて事にはならなかったんだから。


 こうして飯を食い、酒を飲み、馬鹿話に花を咲かせ、時にはファーストステップスの残したお宝を......

 ああ、済まないね、ファーストステップスってのは船でやって来て最初にこの星へ降り立った奴らの事。

 つまりアタシらのご先祖の事さ。


 そいつらは今よりずっと進んだ......えーとなんて言ったっけ?

 あ! そうそうそれ、テクノロジーを持ってたのさ。

 それがお宝さ、そいつを見つけりゃ結構な額で買い取ってもらえるって寸法。

 え?そんな簡単に見付かるのかって?

 そりゃ見付からないさ、簡単に見付かったらつまらないだろ?


 で、アタシらみたいな腕に自信のある奴らが方々巡ってお宝探ししてるのさ。

 

 え? 女だてらに腕に自信が有るのかって?

 少なくともあんたらよりは早い自信が有るよ、試して見るかい?

 なんだい、怒ったのかい?

 ははっやめときな、あんたらは3人、アタシの銃には6発の弾が入ってる。

 股座の汚いモノに1発、頭に1発で丁度だよ。


 何だって? 女は股を開いてりゃ良いって? その汚いモノでヒーヒー言わせてやるって?

 ご生憎、アタシは男に興味は無いのさ。

 あんたらだって道端の雑草と綺麗な花なら花を愛でるだろ?

 もっともここじゃ食べれない花より食べられる芋の方が価値は上だけどね。


 やれやれ、やるってなら止めはしないよ。 

 まあ無理だと思うけどね。

 自信が有るなら抜いてみな。


 ほら、先ず1人、残念だったね。

 何を驚いてるんだい? 抜くのが見えなかったってかい?

 え? あんたらが誰だか知ってるかって?

 もちろん知ってるさ。チンケな強盗団の下っ端だろ?

 そうじゃ無きゃあんたらみたいに下品で薄汚い男共になんざ近づきゃしないよ。

 だからやめときなって、今なら命だけは......

 

 2人目、残りはあんた1人だけどまだやるかい?

 はは〜仲間の敵討ち?

 そりゃ殊勝なこった。


 残念。ほら、まだ頭を撃っちゃいないんだから死んでは無いだろ?

 あんたのボスは何処に居る? 言えば楽に死なせてやるよ。

 ふ〜ん成る程、町外れの洞穴ね。はいご苦労様。


「サファイア、こいつらの賞金額は?」

「はい、ルビー。これが3人分の合計額です」

「なんだしけてるね〜、まあ良い。

 マスター騒がせたね、こいつらは置いてくから賞金と交換しな、なーに迷惑料さ。

 さあ、さっさとボスを倒して宿代を稼がなきゃ」


 アタシの名はルビー、相棒のサファイアと共に荒野をさすらうしがない賞金稼ぎさ。

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