奨学生
「ご飯を作る前に冷蔵庫を確認しないとな。」
「最近、スーパー行ってないもんね。仕事が忙しくて 」
「そうだな。僕が買ってくるかー。」
「私たちも行きたのですがお手伝いしたいのです。」
「うーん、分かった。スーパーには流石に連れて行けないけどここの家を守ってもらいたいんだよね。」
「分かった。私たちがここを守る!!」
「じゃあ、行ってくるよ。麻琉はここに残ってルナシーたちを見ておいてね。」
「うん、行ってらっしゃい。」
玄関から冬馬が出ていくとルナシーたちは麻琉の体の上に登り、寝た。
「可愛い 子犬かな?」
麻琉は冬馬が帰ってくるまでテレビを見て待つことにした。
冬馬は家の近くにあるスーパーに向かっていると誰かに呼びかけられた。
「おーい 冬馬さーん 今、大丈夫ですかー?」
空から警察の服装をした天狗が降りてきた。
「よっ 小町 今、大丈夫。人払いの結界を張ったから」
「流石ですね。準備が早いので助かりますよ。」
「で? 本題は?」
「あっ そうでした。そうでした。本題としてはここの近くの通りで悪鬼が目撃されたそうです。」
「分かった。進行方向から考えると都市の中心部に向かってる可能性もあるから警察に夜間外出禁止令を出してもらうようおじいちゃんに伝えておかないとな。」
「ここから都市の中心部は近いんですか?」
「割と近い。それに未来予知によると中心部にはもうすぐ邪神が現れるはず… それもかなりの悪鬼を引き連れた。」
「それってまさか…」
「急がないとな。祓う準備をするから小町はここの近くにいる陰陽師に声を掛けてきて」
「了解です。」
天狗の女の子が空を飛んで消え、祓う準備をし始めた冬馬は護符を取り出し上へと投げて晴明斑紋を描いた。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前 急急如律令」
「さて 護身強化と身体能力強化をしたけどどうすればいいかな。考えながら現場に行こう。」
屋根の上までジャンプし、屋根をつたってぴょんぴょんっと跳んでスマホからおじいちゃんにメールを送りつつも色々と考えていた。
「とりあえず人払いの結界を張り巡らさせて悪鬼の動きを制限するかー。」
人払いの結界は結界内には人を寄せ付けないようにするためのもので本来ならば外側からそこに近づくと「離れたい」をいう意識をおこさせるために張る。
ただし、今回の場合 人払いの結界を張り巡らさせることによって人を寄せつけなくさせつつも悪鬼を一つ場所に集めようという作戦になる。
「ただ、人払いの結界を張り巡らさせたとしても悪鬼が素直に一つ場所に集まるかはわからないけどグズグズしてると被害者が出てしまう可能性がある。」
「紅月流陰陽術 人払い多重結界」
護符を予め張っておいた家から家の間に結界が張られ、大きな結界が出来る。
「これでいいかな。あとは悪鬼が僕の存在に気づくかどうかだな。」
屋根と屋根の間をぴょんぴょんと跳びながら都市の中心部に向かっているとおじいちゃんからメールが返ってきた。
了解した。今すぐ夜間外出禁止令と近くにいる陰陽師たちに向かわせる。
頼んだぞ。冬馬
「了解っと。小町はまだかな?」
「お待たせしましたー。冬馬さん 」
「来たか。で? 陰陽師たちは集められた?」
「はい、もう既に都市の中心部に向かって避難誘導をしているそうです。」
「迅速に動いてくれて嬉しいな。とりあえず、この辺りは人払いの結界を張り巡らせたから大丈夫なはず。」
「分かりました。一応、人間の警察にも伝えておきます。」
「分かった。愛知県警刑事部悪鬼対策課の柳澤絵里香警部に伝えておいて」
「行ってきます!!」
「よし、急ぐか。」
急いで向かう冬馬は都市の中心部から流れてくる邪気が大きなっているのを感じもうそろそろ現れると確信した。
都市の中心部で避難誘導をしている陰陽師たちも大きな邪気を感じて急いで結界を張り、悪鬼に人の存在を悟られないようにした。
「これでほとんどの人が避難出来たはずだが、逃げ遅れた人がいないか見回るぞ。」
「分かった 俺らは北を見てくる。」
「俺は南を見てくる。もし、逃げ遅れた人がいれば保護し、ここに連れてくることで良いよな?」
「あぁ、そうだな。もうすぐ騰蛇の冬馬さんも来るはずだから。」
「冬馬さんが来たら避難した人達の護衛につくとしよう。」
「よし、頑張るぞ。」
避難誘導をしていた陰陽師たちが逃げ遅れた人がいないか確認している最中で突然、邪神とたくさんの悪鬼が現れたのである。
「思ったよりも早く現れたか。でも、この距離なら僕の存在に気づくはずだし、避難している人たちから遠ざけられるはずだから」
「グァァァァァギャーーー」
邪神が悪鬼を呼び集めるために大きな遠吠えをした。
すると、邪神と共に現れたたくさんの悪鬼とは別に近くにいた悪鬼や悪鬼になりかけの人達が集まっていることがわかった。
各陰陽寮から奨学生が冬馬の指導を受けに名古屋駅に集まっていた若手陰陽師たちも気付き、都市の中心部へと向かっていた。
関東地方統括陰陽寮奨学生
「あれはやばいな。かなりの邪気を感じるよ。」
関東地方統括陰陽寮奨学生
「確かに 凄い邪気を感じるし、めちゃくちゃ大きい呪力も感じる。」
関西地方統括陰陽寮奨学生
「それにしてもめちゃくちゃ大きい人払いの結界を張り巡らせてるのは流石やな。」
関西地方統括陰陽寮奨学生
「そうやなー。」
北海道地方統括陰陽寮奨学生
「冬馬さんはどこにいるのでしょうかね?」
北海道地方統括陰陽寮奨学生
「都市の中心部にいるはずだから。それにしても最近、悪鬼が現れることが多くなった。」
東北地方統括陰陽寮奨学生
「それはよく思いますね。」
東北地方統括陰陽寮奨学生
「騰蛇が動き回ったとしても限界があるからそれは仕方がないんじゃないか?」
近畿地方統括陰陽寮奨学生
「まぁ、他の十二天将の皆さんも頑張ってるし我々が陰陽師になれたら減るでしょ。」
近畿地方統括陰陽寮奨学生
「こいつはともかくとしても私たちはかなり優秀だから減るはずだよね。」
九州・四国・沖縄地方統括陰陽寮奨学生
「それな」
九州・四国・沖縄地方統括陰陽寮奨学生
「結構、来たけど冬馬さんはどこにいる?」
「さぁー? 分からんが中部地方統括陰陽寮奨学生の子たちが近くにいるんじゃないかな?」
「それとも知らされていない可能性もワンチャンあるけど」
「それはやばいな。」
「とりあえず、俺らも悪鬼を退治していくぞ。」
「おー 」
次回、奨学生2
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