狐耳の少女は現代では変ですか?(再アップ)

ミントグリーン

プロローグ

四次元平行世界 いわゆるパラレルワールドで、現代では存在しない獣人や魔法使い、エルフなどが存在する世界で生きていた小狐族こぎつねぞく のルナシーたちはある日突然、現代転移してしまい、そこで現代の少年 紅月冬馬に出会う物語である。


小狐族は、体こそ小さいが戦闘においては、他の種族に引けを取らない実力を持つ。

しかし、争うことを好まないため、他の種族が攻撃を仕掛けてきたり、領土を侵犯してきた時のみ戦い 追い返すが、他の種族の領土を侵犯したりなどはしない。


ただ、一つだけ他の種族とは違う点がある。

それは姫狐ひめぎつねと呼ばれる物凄い魔法力を有する少女の狐が生まれてくる。

その幼い少女狐が長となり、村々をまとめていくという独特な文化がある。

そのため、他の種族からもその力の強さが神聖視され、神様のような扱いを受ける仙狐せんことしてアトロン大森林を治めることとなる。

ルナシーは、姫狐として幼いながらも一生懸命森をまとめていた。

普段通りの政務をこなしつつ昨晩、突如現れたという巨大な穴を視察するため、近隣の村人や他の種族を含む数十名で穴の近くまで見に行くことにしたルナシーは、側近であり幼馴染の武闘派のレインと文官派のマインの2人と共に大きな穴の傍へと近づいていった。


「ルナシー様、この大きな穴は何なんでしょうか?」


「穴の中は暗くて分かりませんが、この穴は危険そうなので埋め立てましょう。」


「いや…それがですね… 」

首を傾げるルナシーたちに耳元で囁いた。


「えーーーー!? 埋め立てれなかったんですか?」


「はい…」


「それは困りましたね。うーん、とりあえず対策会議を設置しましょう。私たちはもう少し調査をしていくので他の種族長さんに伝えてきてください。」


「分かりました。」

ルナシー、レイン、マインの3人は、穴を観察するため、もう少しだけ近づいていった。

すると足元が崩れ始め、穴が大きくなっていった。

その結果、穴に落ちてしまいゴゴゴゴっと言う音に悲鳴がかき消されてしまったのである。


物凄いスピードで下に落ちていくルナシーたちは冷静に「ボラールモダーレス浮遊せよ」と呪文を唱えた。

下に落ちることは無くなったものの、上に上がることは到底不可能だった。

何故ならば、魔法を使ったとしても全員を飛ばし続けることがかなり難しくコントロールが良くないと壁に激突する可能性もあった上にまだ幼いルナシーしか魔法を使うことが出来なかったため、無理と判断し、周りを見渡してみると横に大きな抜け道があった。

そこに向かって進んでいき、抜け道をどんどん進んで… そこには…なんと!!

自分たちがいた世界とは違う世界へと転移していたのだ。


「この世界は何なんでしょうか?… 見たことも無い建物 しかも高い…」


「分からないけど、周りの種族は私たちを凝視してる上に周りの奴らは耳やしっぽが生えていないだと…!?」


「でも、見てくるだけで何かをしようとしはして来ないよー?」

その場から離れようと少し歩いていると1人の少年と出会う。


「そこの君たち 親御さんは居ないの? 迷子の子たちかな?」

声を掛けてきた少年に警戒するレインと全く警戒せずに近づいてくるルナシーとマインは抱きついていく。


「えーっと? どうしたのかな?」

(傍から見たら幼女に変な格好をさせた変態だよな)

ルナシーは、「エディティオ ウルガータ多言語翻訳」と呪文を唱え少年に話し掛けた。

(これは他の種族とのコミュニケーションをとるために使用する魔法)


「これでお互い話し合えるでしょー 」

ぎゅーっとしながら話をしようとするルナシーとマインに対して明らかに警戒しているレインがいる構図である。


「初めまして、私はルナシーと言います。」


「マインだよー こっちがレインだよー よろしくー」


「よろしくね。僕は、紅月冬馬あかつきとうまって言います。君たちはどこから来たの?」


「それが…分からないのです。」


「分からない?」


「私たちの世界に突如として現れた大きな穴に落ちしまって、横の抜け道を歩いてきたらここの世界に来てしまったのです。」


「なるほど そういうことか…」


「信じてくれるのー?」

冬馬は、ニコッと笑って頷いた。


「信じるも信じないも人それぞれだし、僕は信じるよ。君たちが嘘ついてないことぐらい分かるさ。」


「私たちは、元の世界に戻れますか?」


「それは分からない。原因が分からないことには何とも言えないな。ただ、心当たりはあるから大丈夫。君たちを保護するよ。」


「保護するって捕らえるのか!!」


「意味合いとしては合ってるのかもね。ただ、勘違いしないで欲しいのは君たちを閉じ込めるわけじゃないよ。僕の家で保護する。」


「冬馬の家は近いのー?」


「うん、ここからならそんなにはかからないよ。」

(3人でここに置いておくと悪鬼が寄って来るかもしれない)


「ちょっと待て!! ルナシーもマインも行くのか? 」


「うん、行くよ。」


「仕方が無い!! 私も着いていく!!2人を守らればならぬからな!!」


「それは頼もしいね。」

(あの子にかなり警戒されてるなー。まぁ、無理ないか。)


「ありがとうございます。冬馬様 」

彼女は輝いた笑顔をしていた。僕たちはまだこの時は知らなかったこの出会いが世界の運命を変えることになるとは…

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