第44話 事 故
暗殺者龍は依頼された三人の内、社長である父親を先に始末する事にした。
彼の得意とする殺人方法は日本刀のような刃でターゲットを一刀両断する事なのだか、この案件ではあくまでも事故で亡くなった事を演出する必要があった。
ターゲットの社長は、毎朝運転手を付けずに自分が車を運転し会社へ通勤してくるのが日課のようであった。
龍は社長が毎朝通勤で使う道とその道を通ると思われる時間を念密に調べて、仕事を実行する時間と場所を計画した。場所として選んだのはあるコンビニエンスストアの駐車場。
ターゲットの男は無類のコーヒー好きで毎朝、ドリップされたホットコーヒーを購入し、車の中で飲みながら運転をするのをルーティングにしている事が解った。
龍は、駐車場の喫煙所でタバコを吸いながら、ターゲットが店から出てくるのを待った。手には彼が調合した薬に浸けた特殊な針を隠している。
少しの時間を待っているとターゲットの男が右手に蓋の付いたコーヒーの容器をもって車に向かって歩いていく。龍はすれ違い様に、男の首元に針を差し込む、この針は髪の毛よりも細く刺された後を特定する事は極めて難しいと思われる。
男は一瞬違和感を覚えて肩の辺りに触れるが痛みはなかったのでそれほど気にはしていないようであった。何事も無かったように車を走らせる。
しばらく走り続けると彼は体に異変を感じた。急激な胸の痛みと手足の硬直が始まったのだ。
「ぐ、ぐぐぐ……」車を停めようと試みるが、ブレーキを踏む事もままならない様子であった。
そのまま男を乗せた車はガードレールを突き破り民家の塀に激突して止まった。
救急車両が駆けつけた時にはすでに男の命は事切れていたそうであった。
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