第17話 罪と罰
ガムシャラに食事をするイオの姿があった。本来丸一かかるバーブンへの道のりであったがオリオンの馬とルイが一同を背中に乗せて半日かからない位で到着する事が出来た。カルディアを休ませる事が出来そうな宿屋を見つけて、目を覚ましたイオに食事をさせているところであった。
「オリオン様……」ヒロは神妙な顔をしてオリオンの顔を見つめる。
「ん、どうかしましたか?」オリオンは落ち着いた感じで、飲み物を口にした。
「申し訳ありませんでした。カルディアを、それにイオ、それから俺もあなたに助けられました。あなたを暗殺しようとしていた俺達を……、あなたは……」ヒロは体全体を震わせながら涙を流した。
「ああ、そのことですか?もう結構ですよ。いい運動になりましたし」オリオンはいつもの爽やかな笑顔を見せる。
「でも、俺達は、あなたを本気で殺そうとしていたんです。如何なる罪も俺が受けます。だから、カルディアとアウラ達は……」ヒロは涙で濡れた顔のまま、オリオンを見つめた。
「それじゃあ、また僕を襲ってくる者がいるかも知れませんので、僕と一緒に旅をして僕を守ってくれませんか?」オリオンは机に腕組をして前のめりになった。
「いえ、俺よりもオリオン様のほうがずっと強いです……よ」ヒロはオリオンの提案に戸惑っていた。
「そうか……、それでは僕の友達になってください。それが君達の罪滅ぼしです」オリオンは、ニコリと微笑む。
「えっ!」ヒロは驚きの声をあげた。
「正直言うと、一人旅に飽きて来たところなんですよ。君達と一緒なら、もっと楽しく旅を出来そうな気がするんですが……、駄目ですか?」オリオンは相変わらず爽やか笑顔を見せる。
「イオはオリオン様大好きダニ!!」イオが食事の手を止めて元気に言った。
「おやおや、ありがとう。イオちゃん……だったね。僕も君達が大好きだよ。」オリオンはイオ頭を優しく撫でた。イオは嬉しそうに微笑んだ。
「解りました。それでは俺達はひとまず従者と云うことでお供いたします。それであなたの国に帰ってから処分を……」
「それはもういいです。言ったでしょ。僕は従者ではなく友達が欲しいのです。だから、友達を処罰などしませんよ。この話はこれで終わりです」言うとオリオンは席を立ち自分の部屋へ向かった。
「オリオン様……」ヒロは彼の人柄に惹かれていく自分がいる事を感じていた。
「ヒロ様、美味しいダニよ!一緒に食べるダニ!」イオがヒロに肉が刺さったフォークを差し出した。
「ありがとう。本当にカルディアが助かったのはお前達とオリオン様のお陰だ」少し涙を目に溜めながらヒロはイオの差し出した肉を食べた。
「不味いダニか?」泣いているヒロを見てイオは聞く。
「ううん、美味しい……」ヒロは微笑んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます