忘れ物
「あ、あれ・・・?おかしいなぁ・・・」
(佐藤ってば、どうしたのかしら?何か探してるみたいだけど・・・)
「うーん、ちゃんと入れたと思ってたんだけどなぁ・・・」
(聞きたい!『何か探し物してるの?』って聞きたい!でも、困り顔の佐藤も可愛くてずっと見てられる・・・じゃなくて、頑張って聞くのよ私!)
「ねえ佐藤。」
「あ、小鳥遊さん。おはよう。」
「お、おはよう・・・。」
(挨拶してくれた!嬉しい!じゃなくて聞かなきゃ!)
「佐藤はさっきから何してるのよ。ガサガサ、ガサガサと。」
「ごめん。うるさかったよね。ちょっと、探し物しててさ。」
「探し物?」
「うん。次の授業で使う教科書。どうやら家に忘れちゃったみたいでさ。」
(佐藤は忘れ物してたのね・・・。待って、教科書を忘れた?ってことは―――)
「ね、ねえ佐藤?教科書忘れたなら、一緒に見る?」
「え、いいの?じゃあよろしく頼むよ!」
「机、くっつけるね・・・?」
「いや、机はくっつけなくていいよ。」
「え、それってどういう――――」
「くっつけるのは、僕らの唇だけで十分さ。」
(ぎゃああああああああああ!!これはダメよ!あかんやつよ!これはちょっと大人すぎるわ・・・。でも佐藤がそう望むなら・・・)
「小鳥遊さん。」
「ふぇっ!?な、なんか用?」
(私まだ何もしかけてないけど、来るの!来ちゃうの佐藤!?)
「今からダッシュで他のクラスの子に借りてくるんだけど、授業開始まで戻ってこなかったら、先生に事情伝えてもらってもいい?」
「別にかまわないけど?早く行ってきなさいよ。」
(そうよね!そんなうまくいくわけないわよね!てかキスは無理でも、一緒に教科書観るくらいなら―――)
「じゃあ、行ってくるよ小鳥遊さん。よろしくね。」
(馬鹿あああああああああ!私の馬鹿あああ!!なんで行ってきなさいとか言っちゃうの!?せっかく近づくチャンスだっとのにぃぃ!!)
ジタバタする小鳥遊姫子。周りから注目される小鳥遊姫子。
そんな彼女は、今日も恋するお嬢様。
小鳥遊姫子の挑戦はまだまだ続く。
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