第65話 病 十一

 ※  ※ ※ ※

 恵麻はその日、姉の入院している病院にお見舞いに来ていた。

 『どうしてお姉ちゃんがこんな目に遭わないといけないの…?』

 姉の病気、不治の病のことを思う度、恵麻は心の中でそう叫ぶ。

 しかし、その叫びは天には届かず、姉の「最期の日」が、刻一刻と近づいていた。

 「実はね、今日はお願いがあるんだ。」

恵麻はその日突然、姉にそう言われる。

 「…何?お姉ちゃん。」

「実は、預かっておいて欲しい物があるんだ。

 これは、私の宝物。だから…、

 私がいなくなっても、大切に持っておいて欲しいんだ。

 それで、できれば…、」

恵麻は姉の願いを快く引き受ける。

「分かった。大切に預かる。約束するね!お姉ちゃん。」

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