　　「そういえば、和紀さんは映画館でポップコーンは食べますか？」

　…またも和紀がどこかで聞いたことのある台詞だ。

　『…これは間違いない。僕の記憶違いじゃない。この言葉は、あの時、理沙と映画館に行った時、理沙の口から聞いた言葉だ。

　でも、何で恵麻さんが…？

　恵麻さんは、僕が出会った時から理沙とおんなじような服を着て、おんなじようなことを言っている…。

　恵麻さんって、一体…？』

しかし、その後恵麻は、

　「ポップコーンって、塩の方がいいですよね！」

　…あの時の理沙とは逆のことを言う。

　それで和紀はなぜか驚き、

　「あの…、キャラメルじゃないんですか？」

と、恵麻に訊いてしまった。

　「えっ、私は塩の方がいいんですけど…。

キャラメルの方が良かったですか？」

「い、いえいいんです。僕も甘いよりかは、塩の方がいいので。」

「そうですか。私と和紀さんのプチ共通点、見つかりましたね！」

そう言って恵麻は嬉しそうに笑う。その笑顔は理沙と似ているような、似ていないような…。

　『でも恵麻さんは何もかも理沙に似ているわけじゃない。

　現にポップコーンも塩派だし…。』

和紀はそう思った。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい