観察する者 ~あなたと少女の物語~
りこ
プロローグ:はじめましてのご挨拶
...........
「....ーい...」
「おーい...」
「おーーーーい」
ん?...
「目を覚ぁ・ま・せっ!」
ゴスッ
~~~~~ッ
脛に鈍い痛みを抱えながら目が覚めた。目を開けてみるとそこは、建物も空も無い、ただただ白いだけの空間だった。
そして目の前には少し不機嫌そうな少女がいた。
「何度も声を掛けたのに起きない君が悪いんだからな。蹴ったことは謝らないぞ。」
身長は150cmほどだろうか。小柄な体型に大きめのコートを羽織っていて、肩からポーチを下げていた。
...
「君、名前はなんていうんだい?」
.......
「そうか。◼️◼️というんだね?」
「◼️◼️くん。君は何でココに居るんだ?ココで私以外のモノを見たのは初めてだ。」
....?
「ふむ、その呆けた顔を見ると...君は何故ココにいるのかわからないみたいだね。」
.....
少女は少し驚いたような表情をしたあと...楽しそうな笑みを浮かべて、こう言った。
「元の世界か...少し違うかな。ココは君のいた世界と同じ世界とも言えるだろう。」
.....!?
「そうだ!まずは自己紹介をしなければな!」
「私の名前はメグ。観察者(watcher)だ。」
少女はこの状況を心底楽しんでいるようだった。
......
「いやー!こんなに人間と話しをするのはひさしぶりだ!」
ごく短い時間しか話してないと思い少女をみるが、全く気にしていないようだった。
「観察者っていうのはね、この『世界』の様々な時代を、この目で『観て』記録する人のことだよ。まぁ、観察者は私ひとりだけなんだがね。」
「そして『ココ』は全ての『世界』に繋がる場所...まぁ簡単に言えば『枝分かれした木の根元』ってところかな。最後はココに行き着くって感じだよ。」
「そんな得体の知れない場所を通して、私は『観察者』の仕事を全うしているんだ。」
.........
少女はあなたの表情を観て、
「よくわからないまま、ココに来てしまった君はこれからどうなるのかねぇ...」
(嫌な予感がした)
「ココで理不尽に死んでしまうのかも...」
..........
「なんとかならないのか?だって?」
「ココはね、本当は私以外のモノは入ってこられないはずなんだよ。だから私は、私の居ないココがどうなるのかなんて知らないんだ。」
少女は話し続ける。
「私が居なくなった後、ココは『在り続ける』のかもしれないけどさ。君はこんな訳のわからないところで生き残れる自信はある?なんにもないよ、ココ」
...
「.......」
「まぁ、ひとつだけ『確実に』助かる方法はあるけどね」
ッ!........
少女はニヤリと笑い、
「君が私(観察者)の助手となっていろんな世界を観て、元いた世界を探すんだ!!」
少女は目を輝かせながらいい放った。
.....
......... ..................
「よく言った!◼️◼️くん!まさかこの提案に乗ってくるとは思わなかったが...」
「改めて自己紹介をしよう。
はじめまして、◼️◼️くん。
私の名前はメグ。観察者だ。」
少女は手を差しのべて、
「これからよろしく頼むよ?助手くん。楽しもうじゃないか。」
なぜあなたは、このようなことになってしまったことに怒りや不満を示さなかったのだろう。いや、この状況と少女がそんな暇さえ与えなかったのだろう。
あなたは覚悟を決めて少女の手をとる。
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