63th Nice To Meet You.

HU:コクピット内のレナード

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レナードは望遠で敵機体を見ていた。敵機は赤いマントで機体を覆い隠している。しかし、ベース機体は以前と変わらないようだった。”ENEMY-1”、コンソールには倒すべき敵機であると表示されている。


レナードは敵が射程に入ると早々にロケット弾で牽制した。敵機は三つをフワリと避けると、横にブーストして、真紅のマントの波先で最後の一つを弾いた。遊んでいるかのようだ。


「前より速くなっているのか?」

コンソールを見るとAIが敵の移動分布を修正する表示が見えた。


「ならばッ!!」

レナードは近接戦をしかけるべく踏み込んだ。


敵も近接戦闘に備えて急接近してくる。相手に真っ直ぐ向き合う。

斬りかかってくる直前、まるでドレスを脱ぐかのように

マントが落ちる。新しい敵機体の姿があらわになった。


「なんだあれは??」

レナードはゴクリと生唾なまつばを飲んだ。

ほとんど装甲のない細みのフレーム。真っ直ぐ下に降りた小柄なスカート。スカートにはびっしりと小太刀が並んでいる。両手には刃渡りが短い小太刀が逆手に握られている。


レナードは狭いコクピットの中でひとり言いようもない恐怖に鳥肌とりはだが立った。

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