53th Dueling.

エネルギープラント区域内、HU駐屯地、レナード自室にて。


『大佐、なぜですか!!?』

レナードは画面上の上司に向かって吠えていた。


『上の方にも色々と事情がある。増派には応えられん。』


『しかしッ』

レナードは尚も食って掛かる。


『いいかレナード。そこは場合によっては引いても構わんのだ。それに、、、』


少し間を置くと上司は言った。

『まもなく決着が着くかもしれん。』


話の雰囲気が変わったのをレナードは感じた。

『どういうことですか。』


大佐はバツが悪そうに頭を掻くと言った。

『これはまだ極秘ごくひに検討中の段階で、まだはっきりしたことは言えんのだが、、、』


少し間があいた。

『現在、決闘戦が検討されている。』


『はぁ。決闘戦、、、でありますか?』

レナードは聞き慣れない言葉に首をかしげた。


大佐は間髪入れずに言った。

『そうだ。アルカディアから決闘の要請が来ている。エネルギープラントの攻防を一騎打ちで決めようとな。』


『それはまた、今どき決闘などありえるのですか?』

『そうだ。あまりに突飛で原始的な提案で上層部も困っている。ただ、無闇に戦線を拡大し、戦費と資源を浪費するよりはマシなことも事実だ。その場合、お前にやってもらうことになるだろう。』


レナードは思いがけない出番の登場に鳥肌とりはだが立った。


大佐は続けて言った。

『このことは万が一の場合も含めて政治的な詰めが必要だ。お前はしばらく音沙汰おとさたを待て。出番に備えて訓練を怠るなよ。ではまた。』

『ハッ。』


レナードは短く敬礼した。画面はすぐに消えた。レナードは高ぶった自分の熱が部屋の隅々にまで拡がっていくのを感じた。

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