28th Strategy.

外は真夜中になった。俺はまだ寝付けないでいた。


「エレナ、いるか?」

コンソールが開きすぐ応えがあった。

『はい、ご主人。』


しばらく間があった。

『今回はすみませんでした。私が敵を読み切れなかったばかりにこんなことに。』

「いやしょうがないさ。別大陸からの奇襲まで読み切るのは不可能だろう。むしろよく教えてくれた。お陰でなんとか命を拾ったよ。」


エレナは何も言わない。

「これからどうなるんだ?」

『敵はそのままエネルギープラントに駐屯しています。装備や補給もHUから供給され、軍備も大きく拡張されています。』

『本来であれば、あのエネルギープラントは攻略しておきたかったのですがHUが出てきた以上諦めるしかないでしょう。正面からうちあっても勝ち目がありません。』

「全くないのか?」

『はい。ほぼゼロでしょう。』

「そうか。」

『ここが抑えられないとなると戦線が後退して、また、町が戦場になります。』

俺は一縷いちるの望みも絶たれたような気がした。


「アリスはどうしてるんだ?」

『アリスはあの後、シミュレーターにもりっきりです。』

「成果は?」

『いえ、特には。』

「アリスで無理なら無理だろうな。」

『はい。機体性能の差が開きすぎています。』


俺は無言のままコンソールから目をそらした。遠くの空を見ると真っ暗な空に星々が輝いていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る