第6話 化身

 一体、どういうことだろう、朽木弁太郎は二人いるということなのか?


「おねえさんが殺したのは、ニセの朽木弁太郎なのさ」


 口に出す前に先回りしてその男はこたえた。


「ニセの朽木?」


「ボクは顔だけじゃない、体の筋肉も骨格も自由自在に変えられるんだ」


 そういうと、男は着ていた粗末な服を脱ぎだした。

 やせ形の貧相な体がみるみるうちにパンクアップし、筋肉ムキムキのビルダー体型へと変貌を遂げてゆく。


「ほら、ここの形も凄いだろ?」


 股間のイチモツもりゅうとそそりっている。


「ど…どうして?」


「そういう体質だとしか説明できないよ。

 だけどボクはこの体質のおかげで身代わりをたてることができるのさ。こんなふうにね」


 朽木の顔が今度はホームレスのリーダー・玄さんの顔になった。


「まさか、仲間のホームレスを消したのは?!」


「あんなの仲間でもなんでもないよ。ただの身代わり要因さ」


「なんてことを……」


「さて、種明かしの時間は終わりだ。そろそろお楽しみタイムに移らせてもらうよ」


 窓をたたく雨音が激しさをましてゆく。

 目も眩むような稲光が眼前にたたずむ怪人の影を悪魔のごとく映し出す。


「フフフ……」


 全裸の怪人が嗤う。

 玄さんの顔がぐにゃぐにゃと崩れだし、能面のような、表情に乏しい男の顔になった。これが本来の朽木弁太郎の顔なのだろうか?


「おねえさん、さっきから目が輝いているよ。

 そんなにこれが欲しいのかい?」


 朽木は怒張しみなぎったイチモツを玲香の口にもってゆく。

 だが、玲香は顔をそむけたりしない。

 ガブリと噛みつき、そいつを食いちぎるのであった。



   つづくっ!

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