異常性欲絞殺魔の逆襲

八田文蔵

第1話 淫指

 ガタン……ゴトン……ガタン……。


 小野美由紀は花柄のミニワンピを着て満員電車に揺られていた。

 場所は乗降口のドア付近だ。

 スーツ姿のサラリーマンたちに囲まれ、押しくらまんじゅうのように四方八方から圧をかけられている。


 口臭や体臭もきつい。耐えがたい汗の臭いが美由紀の体を押し包む。思わずムッと片眉を歪めた、そのとき――


「?!」


 いきなり太腿の辺りに手が伸びてきた。

 膝上20センチのミニワンピの裾がたくしあげられる。

 太い節くれ立った指がパンティのクロッチへと伸び、下から上、上から下へと上下する。


「あっ……」


 ただ布越しに陰裂をなぞるだけではない。

 曲げた第二関節の指の頭でこりこりと陰珠の辺りを刺激する。

 手慣れた指運びだ。

 やはりこいつに間違いない。

 西京線6番車両の男。通称ナンバー6。


 美由紀はナンバー6による痴漢の被害相談を受けて、自ら囮捜査を志願したのだ。

 抵抗の声をあげない美由紀を獲物と認定したのか、ナンバー6は大胆にも指を右側の股ぐりから侵入させてきた。

 指が美由紀の若草を這い、花園の中心部分へと伸びてゆく。


(ダメ。そんなとこ……)


 指が美由紀の花びらを押し広げる。

 窪みを探しだし、ずぶりと突き入れてくる。


「ひっ!」


 花奥に向かって指が芋虫のごとく這いのぼる。


(せ…先輩、早くこの男を逮捕して!)


 どこかにいるはずの城戸玲香に向かって、美由紀は心のなかでSOSを発信するのであった。



   つづくっ!

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