第25話 VS処女にエロ漫画を描かせる会 死出の旅!地獄の大型ショッピングセンター

 ここは異世界。

 大型商業施設YEYANこと……イヤン異世界店、最上階会議室である。



「ただいま参りました。魔王城主人・ペドオルエです」

「付き添いの工口です」



 スケベ秘術の使い手、主人公こと転生者・工口(こうくち)と。

 300歳の幼女魔王・ペドオルエは。

 会議室の扉を静かに開け、中に入る。

  


「おお。来たか」



 そう答えるのは、イヤン異世界店・支店長である。

 平社員から支店長まで上り詰めた、バリバリのキャリアウーマンである。

 クールビズ……ブラウスとタイトスカートの組み合わせをばっちり着こなしている。



「失礼しますっ」



 緊張しながら、最敬礼をするペド。

 支店長に対して腰が低いのは、魔王城が数年前まで借金漬けであり。

 イヤングループがそれを買収した過去があるからである。

 つまり、魔王ペドオルエは下請けまぞくであった。



「……工口さんも頭を下げてくださいっ」



 小声で工口に注意するペド。

 工口は軽く、会釈をする。



「……」



 ペドの後ろに付いて、自分たちの席に向かう工口。

 移動しながら、周りに目をやると。

 自分たち以外の人間は、既に全員出揃っているようだった。

 火星人・転生者殺し・白磁の少女・ゴスロリ挿絵・褐色シャーマン……これまで敵対してきたメンツの顔が窺えた。

 そして――



「よく私の前に顔を出せたもんだなぁ。えぇ? 工口ぃ」

「……勇者さん」



 工口の隣のペドの隣席。

 その席にいるのは、魔王討伐を目的に人間の王国から派遣されてきた男、勇者である。



「恥ずかしげも無く顔を出せる、度胸? その厚顔無恥っぷりは私も見習いたいね。君のほうが勇ましい者に向いてるんじゃないのか?」



 身を乗り出し、自身への自虐を含めた悪態をついてくる勇者。

 工口のスケベ秘術による必殺技・『乳頭クリクリ』に二度も敗北した勇者は凄まじい怨念を抱いていた。



「……ふ」



 工口も挑発に負けじと、身を乗り出し。



「勇者さん。また俺のスキルで黙らせてもいいんですよ?」



 右手で二回、指を擦る動きをしてみせる工口。



「フハハッ! 僥倖。やるがいい、やりたまえ。私が対策も無しに、事を仕掛けると思っているのかい?」



 短剣に手をかける、勇者。

 パーティに死んだと勘違いされ、魔王城下町に取り残された勇者は。

 一人、武者修行に明け暮れていたのだった。



「うぅ……」



 いがみ合う、工口と勇者。

 間に挟まれ、魔王ペドは完全に萎縮し小さくなってしまった。

 膝に手を置いて、丸くなっている。



「はいはい、注目して」



 工口と勇者の諍いを制するために、パンパンと手を叩く支店長。



「今回は支店長として……と言うよりも、魔王城城下町・町長として皆さんにお願いがあって、集まってもらったわ。こちらのスクリーンを見てもらえるかしら」



 支店長がそう言って、リモコンを押すと。

 天井からスクリーンが降りてきて、明かりが一つずつ落とされた。

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