第14話 新たなる出会い

 自分の中で一人でパニックになっていた。確かに、俺は仏像の扱いなどを爺さんから学んでいた。ただそれだけで見抜かれた。

 こっち側の人間。その言葉に引っかかった。同じ側の人間ということは、社長も祓い屋なのだろうか。

「僕は、祓い屋じゃないよ。ただこれから行くところが祓い屋だけどね。」

 俺はこの人のことをエスパーか何かと思った。今思えば社長はすごい人間観察が得意なのであろう。だからこそ、社長として入れたのであろう。


 ミニバンは、どんどん山の中に入って行く。県道から明らかに意図的に作られたであろう横道に逸れて行く。中型のトラックがギリギリ通れそうなぐらいの道だ。坂になっており、急だ。申し訳程度のガードレイルがあるが、逆側は崖みたいになっている。

「ここな、こんな道だが誰も落ちたことがないんだよ。この周りは山だらけで崖も多く、不注意でよく突っ込んで行くがこの道だけは誰も落ちたと聞かない。まあ、みんな気をつけるからだろう。」

 俺は、何か感じた。すごく懐かしく、なおかつ心地よい。不動に守られているような清々しい気分。

「お主、そこから離れろ………」

龍王の声だ!しかし、いつものように落ち着いた声ではなく、危機迫っている声だ。

「やかましい。龍神は滅しようぞ。」

懐かしい声だ。不動の声。そんな声に苛まされていると時に車が止まった。

「着いたよ…ってどうしたその顔色。」

そんなやりとりをしていると、奥から一人男性がやってきた。

「よくきたな。さて、どうしたものか。」

ガタイのいい男だ。この人を見ると何か嫌な気と縋ってしまうような感じがする。

「とりあえず、茶でも飲もう。」

そう言いながら荷物を持って家の中に入った。

 家の中は色々なものにあふれていた。仏像や仏具、色々な骨董品。そんなものを見ているとコーヒーが用意された。

「ほら飲みな。」

そう言いながらコーヒーを渡された。夏にホットコーヒーは堪える。

「さて、お前さん。龍神がついているな。しかも相当大きい。厄介だな。」

えっ…。

どういうこと?

確かにその力を人を魅了する力を持っているが、厄介だとは思ったことはない。

 なのにも関わらず、そんなことを言われると少し怒りが湧いてくる。

「何だか腑に落ちないみたいだな。こんなことを言われて。ただ、お前は龍神について知らなすぎる。それゆえにお前さんはまだ神の怖さを知らないだろう。」

 そういえば、俺は神だけでなく、不動たちについてもしらない。

「お前には、この界隈の話をしてやろうか。」

そういって何冊かの本を持ってきた。

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