童貞を捨てるためにサキュバスを作り始めて２０年、いつのまにか魔王になってました～異世界で魔王を倒した転生勇者は童貞を捨てるために奮起する～

2度目の魔王討伐、始まる

第21話 まずは自己紹介から

エロ同人というすばらｓ……しょうもないものに引っかかってしまった俺は、そのままルートの屋敷に引きずり込まれた。

あのあとも、俺は断固として魔王討伐を拒否したが、ルートがプラスで３冊ほど秘蔵本をくれるというので、しかたなく魔王討伐を受けることにした。

その後、俺は客室に通されたわけなのだが……。

「これはいったいどういうことだ……？」

客室に入った瞬間、２人の男女が俺に土下座をしてきたのだ。

「「本当に、申し訳ございませんでした！」」

「い、いや……、申し訳ないって、一体何の……？」

「いえ、まさかあなた様がルートリア様のお仲間だったとは！そんなことは知らず、勝手に魔王と決めつけ、襲撃をしてしまった俺をどうか許してください！」

「俺も、あなた様のことをお前呼ばわりしてしまい、本当にすみませんでした！」

よく見ると、その２人は前に俺の城に来たあの勇者たちだった。

「ああ、あの事なら別に大丈夫ですよ！そんなに気になさないでください！こっちも、そちらにはひどい目にあわせてしまいましたから」

具体的には、わずか１０秒ほどで殺されたり、触手にヌルヌルにされたりだ。

「そ、それじゃあ、俺たちのことを許してくれるんですか……！？」

「許すも何も、ほとんどお互い様じゃないですか」

そう言うと、２人はとてもうれしそうな顔をした。

「「あ、ありがとうございます！」」

そう言って、俺に礼をしてきた。

「お前ら良かったな。アルが優しいやつで」

ルートが２人にそう言った。

「ていうかすごいな。俺、こんな風に丁重に扱われたの久しぶりなんだけど。お前の仲間っていうだけですごい変わりようだな」

「そりゃそうさ。今の俺は、国家を支える大貴族の一人。さらに、元勇者ときたもんだ。こいつらにとって俺は、憧れであり師匠みたいなもんでもある」

「師匠？」

「ああ。俺がこいつたちを教育してやってるんだ。魔王と戦えるようにな」

なるほど、だからこんなに態度が変わったのか。

「でだ、早速魔王についての話し合いをしたいんだが……。まずは自己紹介からのほうがよさそうだな」

そう言うと、ルートはさっきの勇者の男の方を指さした。

「じゃ、お前からな。名前とタレント、特技を言え」

「あー、タレントはいいよ」

「ん？なんでだよアル。これから一緒に魔王討伐をするんだ。全員のタレントは知っておいたほうがいいだろ？」

「いやー、それが、もう全員のタレントは俺知ってるんだよ」

「……は？どういうことだよ」

俺はルートにすべて話した。

王都に潜入していたこと。

戦闘力はかるやつでもう既に全員のタレントを含めた情報を知っているということ。

「マジかよ、見るだけで相手のタレントが分かる機械だって！？」

「そう、もうそれでみんなのタレントは知っているんだよ」

俺以外の全員が驚愕の表情をする。

そりゃ当たり前だろう、そんな機械があるなんて聞いたことがないだろうからな。

「そんなわけだから、皆さんには名前と特技だけ教えてもらえるとありがたいです」

「……じゃあ、そんなわけだ。名前と特技だけ言ってけ」

「は、はい！」

まず一人目は、俺の城に最初に来た『怪力』の勇者だ。

「お、俺は『アダム』っていいます。タレントの『怪力』を活かした誰にも力では負けない単純な肉体での戦闘が得意です」

なるほど、アダムね。

特技って、歌がうまいとか、そういうものだと思うんだけど……。

まぁ、言うほどのことでもないか。

二人目は、同じく俺の城に来たビキニ幼女の勇者だ。

「俺は『リー』っていいます。タレントで回復しながら戦って、ずっと倒れずに相手の体力を削っていく戦い方が得意です」

リーか、よし覚えた。

なるほど、あのタレントはただ単に味方を回復させるんじゃなくて、自分で戦いながら回復することで永遠に倒れない戦士になるようにも使えるのか。

次は、あの刃を自在に操れるイケメンだ。

「私は『ロミオ』と申します。タレントで何でも斬ることができるので、比較的得意といえるような戦い方はありません」

そりゃそうだろうな。

光の刃を飛ばせるってことは、遠距離攻撃も可能っていうことだ。

つまり、前衛でも後衛でもなんだろうとかまわないわけだ。

誰だろうと、なんだろうと斬ってしまう。それだけで十分なのに、飛ばせて、自由自在に操れるとか、チートすぎる。

おまけに、男の俺ですら少しくらっとくるほどのイケメンとか、なんだよそれ、なろう系主人公かよ。

次は、あの『属性ムチ』のヤバそうなやつだ。

「お初にお目にかかる、アレイス殿！我が名は『パーバート』！全てのSとMを司る者だ！ちなみに、特技は調教だ」

４人目にして明らかにやばいやつが来た。

この流れだったら、普通は得意な戦闘スタイルを言うもんだろ！なんだよ調教って！？

と、とりあえず、彼とは今後はあんまり関わらないほうがよさそうだな……。

最後に、俺が一番厄介だと思っていた蜂の子の勇者だ。

「私は『シアン』。特技は高いステータスを活かした――――」

うんうん。

「超高速オナニーよ」

うんうん、なんて？

「シアン殿の自慰は素晴らしいからな。時速３０００キロメートルの自慰なんという芸当、我にはとても真似することができん」

パーバートがそんなことを言う。

……うん。

あのレストランのときから、おかしい人だとは思ってたけど、まさかこんな人だったとは。

「そんなわけで、こいつらの自己紹介は以上だ」

いや、どうすんだよ。２人くらい変態がいるんだけど。

え？なんでみんな何にも反応しないの？

これが普通なの？俺が異常なだけ？

「よし、じゃあアル。早速魔王たちについて話したいと思う」

そんな俺の気持ちを知るわけもなく、ルートが話し始めた。

「魔王には現在数人の仲間がいる。魔王軍の幹部ってやつだ。その中の一人が、この王都から１００キロほど離れた街に出現したっていうんだ」

「ほう。で、敵のタレントとかは分かっているのか？」

「それが、まだ分かってないんだ」

「そうか……」

タレントが分かれば、対策がしやすくなる。

まぁ、分からないものは仕方がない。

「でだ、この魔王軍幹部をぜひとも、お前に倒してもらいたいんだ」

「いや、別にいいけどさ、なんで俺なんだ？シアンとロミオじゃ勝てないのか？」

「ああ、相手との相性が圧倒的に悪いんだ」

２人と相性の悪い相手？

こんなに強い２人にも弱点があるのか？

一体なんだろうか。

「実は、その幹部はスライム系統の魔物でな。２人は物理的な攻撃が得意だから、どんなに攻撃してもすぐに回復されてしまうんだ」

「あー……、なるほど……」

スライムは、最弱の魔物として有名だ。

だが、それはただのスライムの話。

上級のスライムにもなれば、どんなに殴られようと斬られようと、すぐに回復してしまうのだ。

なぜなら、身体のほとんどが水でできているからだ。

ようは、水を斬ってもすぐに元通りになるのと同じだ。

そのため、上級スライムには魔法攻撃しか効かない。

「残念ながら、こいつらの中で魔法を使えるやつはいないんだ……。そこで、お前の仲間に頼みたいっていうわけだ」

たしかに、俺の仲間なら魔法を使えるやつがいる。

魔王軍幹部のスライムも倒すことができるだろう。

「頼む、魔王軍幹部を倒してきてくれないか！」

「……しょうがねぇなぁ」

エロ同人を４冊ももらったんだ。

断るわけにはいかない。

「いいぜ、倒してきてやるよ！昔の仲間の頼みなんだ、受けて当然だろ！」

「ありがとう、アル！」

こうして、俺の魔王軍幹部討伐イベントが始まった。