第81話 おかしな感じ

2年生になってもう3週間くらいが経った。

クラスにも慣れ、楽しい学校生活を過ごしている。

授業が終わり、休憩時間になり体を伸ばす。

その時、後ろから肩を叩かれた。


「お疲れ今井くん」

「ん?あ、お疲れ藤田さん」

「あのさ、今日の放課後時間あるかな?」


今日は部活がない日だ。

七菜美は楓とどっかに行くって言ってたし、なんもないよな……


「あるけど……どうしたの?」

「その……勉強教えてもらいたくって……」

「了解。じゃあ放課後図書室で」

「ありがとう!」



今日の全部の授業が終わり、帰りのホームルームが終わった。

1人で図書室に向かう。

そこにはすでに藤田さんがいた。


「お待たせ〜」

「私も今来たとこだから〜それじゃあお願いします」

「おう!……変なこと聞くようだけど急にどうしたの?」

「えっとね……私教師になりたいの……うちあんまお金無くて、できれば塾には行きたく無くてさ……2年生になったしそろそろ頑張らないとな〜って……」

「なるほどね〜……どうして教師になりたいと思ったの?」

「私……小学校の時にいじめにあってたの……それで、その時の担任の先生が私を助けてくれて、その時自分もいつかそんな先生になりたいなって思ったの……」


藤田さんにそんな過去があったとは……

俺にはまだ将来の夢がない。

自分の夢に向かって頑張っている藤田さんはとてもかっこよく見えた。

そんな藤田さんを、サポートしないわけにはいかない……


「そうなんだね……俺で良ければ全力で手伝うよ!」

「ありがと!」


そこから約2時間、みっちり勉強した。

確か去年は七菜美とこうして一緒に勉強したな……

同じ状況になり、少し自分の気持ち不安になったが、やはり俺は七菜美だけが好きだ。

でも、クラスが離れてどこかつまらないと言うかなんと言うか……

自分の心にいつもと違う何かを感じながら、帰る準備をしていた。


「今井くん、どうかした?」

「ん?大丈夫だけどどうして?」

「何か悩んでいるような顔をしてた気がするから……」

「そ、そんなことないよ!」

「ならいいんだけど……何かあったら、私でいいなら相談に乗るからね?」

「ありがとな!」


藤田さんの気持ちはありがたかった。

でも、このことはなぜだか人には言いたくなかった。

恥ずかしいのか、はっきりとした理由は分からない……

でも、言いたくないのは確かだ……

この気持ちは胸にしまっておこう。

そう思った。


校門で藤田さんと別れ、家に帰っていく。

1人で帰る中、空に浮かぶ夕日のオレンジ色が、なぜか胸の奥に響き渡った気がした……



〜あとがき〜

読んでいただきありがとうございます!

この物語を書き始める頃から思い描いていた終盤に入ってきて、とても楽しいです!

話の句切れをよくするために文字数は少なめで話数を多めにしていくかもしれないです。

最後までお付き合いください。

よろしくお願いします!


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