第80話 クラス替え

2月、七菜美から人生で初めての本命チョコを貰った。

今まで何度か貰った事もあったが、おそらく義理だっただろう……

七菜美の手作りのチョコは本当に美味かったな……


3月、ホワイトデーにバレンタインのお返しをした。

七菜美のあの笑顔は今でもすぐに浮かんでくる。


そして4月、今日から俺たちは新年生となる。

入学からこの1年、とにかくあっという間だった。

今日のクラス替えは楽しみであり不安だ。

七菜美と違うクラスになったら、どうなるんだろう……

いや、大丈夫なはずだ!


今日はいつもの5人で登校することになった。


「いや〜誰が一緒になるかね〜」

「楽しみだな!」

「この誰かが1人になることはほぼないよね?」

「5人もいたら大丈夫だろ!」


みんなと話していると、学校まではあっという間だった。

下駄箱前に貼り出されたクラス分けの紙に、たくさんの人が集まっていた。

鼓動が高まる。


「じゃあ行こうか」

「おう!」


5人で一斉に紙を見た。

俺の名前は3組に書いてあった。

男子を飛ばして一気に女子の方を探す。

しかし、そこに七菜美の名前はなかった……

ガッカリと肩を落としていると、後ろから肩をバシリと叩かれた。


「よう!今年もよろしくな!」

「あ、ああ……」

「おいおい!坂石さんがいないからってそう落ち込むなよ!」

「ああ……そうだな!頑張るか!」


しっかりと見直すと、俺のクラスには駿介と1年生の同じクラスの人が何人かいた。

隣の2組には、七菜美、楓、秋大の3人が揃っていた。

七菜美の方を見ると、俺と同様肩を落としていた。


「違ったね……」

「そうだな……」

「ちょっと2人とも暗い顔しない!お昼とかは一緒に食べたりできるでしょ〜!」

「それもそうだな……」


俺たちは気を取り直してそれぞれの教室に向かった。

このクラス替えがきっかけでになるなんてこの時は思いもしなかった。


教室に入るといろんな人から励ましの言葉をもらった。

だけど、その日の授業はなんだか集中できずに終わっていった。



ある日の帰り、七菜美と一緒に帰っていた。


「春樹とはクラスが離れちゃったけど楓ちゃんと同じでよかったな〜隣の谷川くんが意外と面白くてさ〜……」


俺はなぜかいつものように七菜美の話を聞けなかった。

なぜだろう……

クラスが違うだけでこんなに不安になるのか……

なんだか、胸が苦しかった。

それと共に、七菜美のことを信じ切れていないような自分や、胸の内にある独占欲にどこか苛立ちも感じた……


「でね〜、ん?春樹?」

「ん?ああ、で、なんだっけ?」

「なんか最近春樹暗いけど大丈夫?」

「ああ、大丈夫だよ……」

「ならいいんだけど……」


なんだかこの気持ちは七菜美に言うべきではない気がした。

なんなんだよこの気持ち……




〜あとがき〜

読んでいただきありがとうございます。

いよいよ物語は終盤に差し掛かりました。

2人の結末を最後まで見てください!

残りもよろしくお願いします!

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