第77話 バレンタイン②

ついに14日になった。

昨日の夜に作ったチョコは、今までの成果も出て、なかなかいい感じにできた気がする。

それにしても以前とクマはある。

どうしよう……

悩みながらも、時間になったので家を出ることにした。


朝練を終え教室に向かう途中に楓ちゃんに会った。


「あっ!おはよ〜」

「おはよ〜楓ちゃん」

「ちゃんと持って来たかい?」

「うん!いい感じだよ!……でもいつ渡そっかな……」

「一緒に帰ってその時でいいんじゃない?」

「そうだね!」


朝のホームルームが終わって、春樹のとこに行った。


「今日一緒に帰れる?」

「オッケー!」

「じゃ、じゃあ次体育だから……」


しまった……

クマが気になって俯いたまま喋っちゃった……

もうどうすればいいの〜!!


***

「よかったな春樹、チョコ貰えて……なんでそんな死んだ顔してんだよ」

「だって……ずっと俯いてただろ!やっぱり俺やらかしちゃったかな……」

「そんなことないって!帰りに思い切って聞いてみろよ」

「そうしてみるわ……」


昨日に引き続き七菜美に対しての疑問を抱えたまま、授業を受けていた。



部活が終わり、制服へと着替える。


「今日は坂石さんと帰るんだろ?」

「ああ……」

「まあ、不安とか疑問とかは溜め込むなよ〜」

「ありがと。じゃあまた明日」

「おう!じゃあな!」


駿介と別れ、小走りで校門に向かう。

そこには七菜美が待っていた。


「お待たせ七菜美」

「部活お疲れ様」

「七菜美もお疲れ。じゃあ帰ろっか」


学校を出て家に向かうのだが、七菜美は少し俯いていた。



***

ああ〜だめだ!

つい俯いてしまう。

春樹ならそんなに気にしないよね!

そう思い顔をあげようとした時、春樹がこちらを向いた。


「なあ七菜美……昨日、今日となんでそんなに俯いてるんだ?……俺、なんかしちゃったかな?」


本当私は最悪だ……

彼氏にこんな事を思わせるなんて……


「ごめんね春樹……そんな風に思わせちゃって……その……これ作るのに少し手こずっちゃって、クマを見られたくなかったの……」


そう言って鞄からチョコの入った袋を春樹に差し出す。

こんなことは初めてで、とても緊張するし恥ずかしい……

春樹はそっと袋を受け取り、微笑んだ。


「本当ありがとな……すげー嬉しい……俺は気にしないから顔あげてよ……」


そう言われ、顔を上げて春樹と目を合わせる。


「いつも通り可愛い七菜美だ」

「う、うるさぃ……」


恥ずかしくて顔が真っ赤になるのが分かる。

あまりの恥ずかしさに顔を春樹の胸に顔を埋める。

春樹は私の頭を優しく撫でくれた。

春樹の香りがする……

落ち着くな……


「七菜美……あの……ここ普通に道だぞ?」


笑いを含みながら春樹がそう言った。

我に帰り、慌てて春樹の胸から顔を離す。

周りからたくさんの視線を感じ、恥ずかしくて再び顔が真っ赤になる。


「じゃあ、帰ろーぜ」

「うん!」


春樹と指を絡め、ゆっくり家に向かった。



***

人生で初めて大好きな人からいわゆる本命チョコを貰った。

本当に嬉しいものだ……

七菜美が俺を避けてた?理由もわかったし、すっきりしたな……

手を繋ぎながら横目で七菜美を見つめる。

その俺に気づいたのか、七菜美はこっちを見てニコリと微笑んだ。

本当に可愛いなチキショー!


七菜美のこの笑顔を見ると時折、俺はこの笑顔をずっと守れるのかと不安になる……

でも俺たちなら、どんな困難も乗り越えられる。

そんな気がした……



〜あとがき〜

いつも読んでいただきありがとうございます!

無事春樹と七菜美のバレンタインは終了しました。

次回もお楽しみに!

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