第68話 信頼

「え……」


な、なんで七菜美のこと知ってるんだ?!

しかも名前呼び?!

ま、まさか七菜美は昔女性が好きだったのか?!


「あ、そんなに驚かないで。私は七菜美のいとこの岩城奈美いわきなみです。」

「なるほど……」

「おばさんからだいたいの話は聞いてるの。あなたと出会って七菜美は凄く変わった。いや、変わる努力をするようになった。あなたには感謝ね。ありがとう。」

「お母さんにも同じようなことを言われました。僕はきっかけを作っただけで、何もしてません。七菜美の頑張りを褒めてあげてください……すみません、なんか生意気言っちゃって……」

「いいのよ。聞いた通りの子だわ」


それはどういう意味なんだ?!


「ところで、あなたには七菜美を本気で大切にしてくれてるの?」


いきなりこんなことを言われるとは思っておらず、少し驚いた。

奈美さんの顔は、本気だ。

それもそうだ。大好きないとこの彼氏がどんなやつかぐらい知っておかないと。

俺は自分の思いをそのまま伝えた。


「はい!……まだ七菜美には言っていませんが、俺は七菜美を一生かけて幸せにするつもりです。」


そう言うと、奈美さんはしばらく俺の顔をじっと見る。


「七菜美の事をよろしくお願いします。」


そう言って、奈美さんは深々と頭を下げる。

数秒経ち、頭を上げた奈美さんは再び営業モードに入っていた。


「お客様、こちらの色などどうでしょうか?」


そう言って俺に進めたのは、水色のネックレスだった。

そう言えば、七菜美は水色が好きって言ってた気がするな……


「これにします!」


そのまま会計を済ませ、奈美さんにお辞儀をし、店を出ていった。



**

「はぁ〜疲れたぁー」


仕事を終え、店を出る。


「お疲れ様でした」

「おつかれ奈美ちゃん〜」


今日は七菜美の彼氏に出会った。

思った以上にしっかりした子だったな。


七菜美は昔、ほんとに自分の意見は言わないし、人見知りっぽいし、大変だったな……

小学校を終える頃に、急に変わって、オシャレな服を教えてって聞かれた時にはびっくりしたよ……


私はおばさんに電話をかける


『もしもし奈美?どうしたの?』

「もしもし〜今日春樹君だっけ?その子に会ったんだ〜」

『え?どうして?』

「七菜美の誕生日プレゼントを買うのに家に来たんだよ」

『まあ、それは七菜美喜ぶわね〜秘密にしとかなきゃ!』

「あの子なら、任せれそうだね。おばさんの言ってた事がよく分かったよ。あとはおじさんなんだよね……」

『そうね、あの人の親バカっぷりはなかなかなのよね……でも、春樹君なら何とかすると思うわ』

「それもそうだね……おばさん、体調には気をつけて〜」

『ふふ、ありがとう。奈美も頑張りなさいよ。じゃあね』

「うん!バイバイ」


電話が切れた。

七菜美、春樹君、頑張れ……



~あとがき~

まさかのいとこでした!

読んでくれてありがとうございます!

これからもよろしくお願いします!

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