第55話 花火祭り(前半)

興奮してだろうか、あまり寝られなかった……

ついに今日花火祭りがある。

七菜美と2人でのデート。

うん、待ちきれないな……

七菜美の最寄り駅の電車に乗り、会場に向かう予定となっている。2駅だけなので、距離はそんなにないのだが、七菜美が浴衣を着ると言うので、歩かす訳にもいかない。

4時に七菜美の家に集合となっている。

現在の時刻は3時。

あと1時間か……

ゲームをしている時は1時間などあっという間だが、こういう時の1時間はとても長い。

荷物の確認などを済ませ、20分になったので家を出る。


「いってきまーす」

「行ってらっしゃい!楽しんできな!」


俺の足取りは、なぜだかいつもより軽やかだった。

予定より早くに着いてしまった。

まだ20分もある……

その時、窓際から視線を感じた。

少しすると、目の前の扉が開いた。

七菜美かと思ったら、そこにはお母さんがいた。


「春樹君、こんにちは」

「こんにちは」

「もう少し待ってね。あがるかしら?」

「いえいえ、自分が早く着いてしまっただけなので、お構いなく」

「なら、私の話を少し聞いてくれるかしら?」

「もちろんです!」

「七菜美はね、昔は暗くて自分を全然出さない子だったの。でもね、あなたに会った日から七菜美は変わっていったわ。あなたが七菜美を変えてくれたの。ありがとね」

「いえ、僕は何もしてませんよ?変わるきっかけは作ったのかもしれない。でも、変わる努力をしたのは七菜美さん本人です。僕が感謝されることはありませんよ?……って何だか生意気言ってますね。すみません……」

「生意気なんてとんでもない!あなたが七菜美の彼氏でほんとに良かったわ。これからも、よろしくお願いします。」

「こちらこそ、七菜美さんとお付き合いできて幸せです。こちらこそよろしくお願いします。」

「そろそろかしらね?」


そう言ってお母さんは笑顔で家に入っていった。

ふー

心臓が痛いほど激しく動いている。

今までにないくらい緊張した。

途中、自分でも何言ってんだと思うようなこと言ってたけど、お母さんが優しい人で良かったな……

すると、七菜美が奥の方から出てきた。


「じゃあ、お母さん行ってきます!」

「行ってらっしゃい。楽しんでね!」

家の扉が閉まり、七菜美がこちらに来る。

や、ヤバすぎる!!

もうこれは可愛いというより美しい。

そんな七菜美に見とれ、思わず固まってしまった。


「やっほー……ど、どうしたの?へ、変化な……」

「と、とんでもない!……その……綺麗だ」


お互いに顔がボッと赤くなる。


「よ、良かった……ありがとう……春樹もかっこいいよ……」

「そ、そうか……ありがとう……い、行こうか!」


ヤバいヤバい!今日の七菜美は何だか色気的なのも出てるしほんとにヤバい!

理性がぁぁー!!

頭の中で九九を唱えながら、七菜美の手を握り、駅へ向かう。


電車を出て、祭りの会場に向かう。

電車内で揺れて顔が一気に近づいた時はちょっとヤバかった……

大丈夫だよな?!俺……


「あっ!春樹!見て見て!屋台が見えたよ!」

「おっ!もう少しだな!」


少しはしゃぎ気味の七菜美はいつものように可愛らしかった。


会場に着き、焼きそばやわたあめ、フランクフルトなど色んなものを買った。

どうやら七菜美はこういう祭りは初めてらしく、とても楽しいらしい。

そんな楽しそうな七菜美を見れて、俺は幸せでいっぱいだった。

俺は何回かこの祭りに来たことがある。

そのため、花火の絶景スポットも知っている……


「花火打ち上げまで、あと十分です!」


放送がかかる。


「七菜美」

「何?」

「花火が綺麗に見れるとこ知ってるんだけど、行かないか?」

「うん!行こ!!」


こうして、俺と七菜美は絶景スポットに向かって行った。



~あとがき~

次回と花火祭り編です!

甘々ですよ!!

お楽しみに!

これからもよろしくお願いします!

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