第54話 お誘い
早くも7月は終わりに近づいていた。
今週の土曜日には割と近くで花火祭りがある。
秋大は5人で行きたいな〜って言ってたが、俺は正直七菜美と2人で行きたい……
やっぱり5人だと1歩距離を置いてしまうのだ。
どうしたものか……
「よお春樹!!……ん?なんか悩んでる?」
朝練が終わり、教室に向かっていると駿介に肩を叩かれた。
なんか駿介にも考えてることが分かられてきたんだよな……
俺は思っていることを言ってみることにした。
「その……だな……夏祭りは七菜美と2人で行きたいな〜って……」
「たまには2人でいちゃつきたいよな〜うししし……いや〜春樹が自分の思いを言ってくれて嬉しいぜ!俺はいいぜ!秋大にも言っとこうか?」
「いや、俺のわがままだから自分で言わせてくれ」
「なんかだいぶ男になったな〜じゃあ、自分で言ってこい!」
こうして休憩時間に秋大と楓にもその事を言うと、あっさりオッケーしてくれた。
実は肝心の七菜美にはまだ聞いてないんだよな……
よく考えたら、付き合ってから七菜美と2人で遊ぶのは初めてだ。
そのため、誘うのもかなり緊張するし、言葉も考える。
とりあえず七菜美と一緒に帰り、その時に言おうと思った。
部活が終わり、正門に向かう。
今日は俺の方が早かったみたいだ。
5分程待つと、下駄箱から愛しの人が走ってくるのが見えた。
「ごめーん、春樹!待った?!」
「俺も今来たとこだから。お疲れ様」
「お疲れ様!じゃあ、帰ろ!」
七菜美の手を取り、家に向かった。
七菜美と今日の授業の話をしていたが、正直集中できていなかった。
なんて言えばいいんだ……
『背伸びせず、自分の気持ちを素直に言え』
この前見たラノベにそんな事が書かれていたのを思い出す。
「七菜美、あのさ……」
「なあに?」
「そのさ、今週の夏祭り2人で行かないか?」
「2人?」
「あっ、いや、嫌だったらいいんだ……けど、5人だとなんか周りに気を使うな〜と思ってさ……」
「さては、私とイチャイチャしたいんだな〜」
七菜美よ、顔を真っ赤にしながら言ったらからかってる感ゼロだよ……
逆にからかってやるか……
「そーなんだよー七菜美とイチャイチャしたくてたまんないんだよな〜」
「なっ!?そ、そうなの……べ、別に、私はいつでもイチャイチャしてもいいよ……」
可愛すぎるので抱きしめる。
「ちょっ!?春樹!?」
「いつでもいいんだろ?」
「うぅ……」
俺も顔が真っ赤だろうが、七菜美をからかうのは楽しいな。なんせ可愛すぎる。
「で?いいのか?」
「私も2人で行きたいなーって思ってた……土曜日よろしくね!」
「おう!」
七菜美も同じ事を考えていたとは……
嬉しくて、思わず少し強く手を握る。
するとそれに反応して七菜美も少し強く手を握る。
お互い顔を合わせ、笑う。
俺はほんとに幸せ者だ……
***
料理の準備をしていると、玄関の扉が開く。
「ただいま〜」
「おかえりなさいー」
声がいつも以上に明るい。
何かいいことがあったんでしょうね。
春樹君に祭りに誘われたのかしら……
「お母さん!今度の土曜日……ゆ、浴衣着させて!」
「春樹君と祭りに行くの?」
「そうなんだ……えへへ……」
「それならバッチリ決めなきゃね!」
七菜美は春樹君と出会ってからものすごく変わった。いや、春樹君と出会えたから変われた。
付き合ってからは毎日幸せそうだし、ほんと春樹がには感謝しなきゃね……
私はとっても嬉しいんだけどあの親バカオヤジがなんて言うか……
春樹君、頑張って!
~あとがき~
次回は夏祭り!!
最後は初めて七菜美のお母さん視点で書いてみました!
次回も甘々!
お楽しみに!
よろしくお願いします!
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