第45話 自信

自然と目が覚める。

時計を見ると、8時になっていた。

こんなに遅く起きたのは久しぶりだな……

そう思いながら顔を洗いに洗面所に向かう。


「おっ、春樹おはよ」

「父さんおはよ」

「朝飯食ったら服選ぶか」

「よろしく……」


しかし体がだるいな……

部屋に戻ると、ちょうど誰かから電話が来た。

画面を覗くと、七菜美からだった


「もしもし春樹〜 おはよう!今大丈夫かな?」

「おはよう七菜美。大丈夫だぞ」

「えっと、明日9時にいつものコンビニで。映画は10時からのでいいかな?」

「おっけー!じゃあ、9時にコンビニな。家まで迎えに行くけど?」

「え?じゃ、じゃあ……お、お願いします……」

「じゃあ、9時に七菜美の家でいいか?」

「うん!楽しみにしてるね!バイバイ!」

「お、おう!バイバイ」


休日の朝から七菜美の声が聞けるなんて……

最高すぎかよ!!


朝食を終え、父さんの部屋に来た。

「そうだな、季節的にこの色か?いや、こっちの方が……」

1人でブツブツ言っている。

俺はファッションを全く知らないので任せておこう……

少しは勉強しないとな……

父さんの独り言は、いきなり俺への質問に変わっていった


「なあ、春樹?お前、七菜美ちゃんの気持ちに本当は薄ら気づいてるんじゃないのか?」

「……なんでだよ?」

「だってあんな綺麗な笑顔見たらいくらお前でも少しは分かっちまうだろ」


父さんの言っているとこは正解だ。

今までの七菜美の言動、昨日の笑顔。

あれを見たらもしかしてという気持ちは大きくなっている。

だが、確信できる証拠がない。


「どーせ証拠がないから確信出来ないとか思ってんじゃないのか?」

「う、うう……」

「お前は昔から慎重な性格だ。いい事だが、もうちょい自分に自信を持て。お前は自分が思っている以上にいろんな人から好かれているし、優しい。たまには、自分自身と、直感を信じてみろ!」

「……おう……ありがと……」


急に褒められるもんなので何だか恥ずかしい。

だが、父さんのおかげで自信が少しついた気がする。

服を選んで貰い、部屋に戻った。


それからは、緊張とワクワクの気持ちに押し潰されそうになりながら、早めに寝て1日を終えた。


翌朝いつもと同じ時間に目が覚める。

じっとしていれないので少し走った。

家に帰り、しっかり汗を流し体を洗う。

これで臭いは問題ない。

次に、髭を剃っていく。

鼻毛のチェック、眉毛を整える。


朝食を終え、ワックスで髪をいい感じにしていく。

服を着替え、ハンカチを入れる。

身だしなみと準備はこれでバッチリだ。

8時20分になったので、家を出る。

七菜美の家までは歩いて30分なので、もしもの10分を入れるくらいが安心できてちょうどいい。

玄関前には、父さん、母さん、彩美が待っていた。


「寝癖は?」

「よし!」

「鼻毛は?」

「よし!」

「髭は?」

「よし!」

「ハンカチは?」

「よし!」

「行ってよし!」

「お兄ちゃん、頑張るんだよ〜!」

「おう! じゃあ、行ってきます。」

「「「行ってらっしゃい!」」」


みんなに見送られ、家を出る。

緊張しすぎても良くないので、数学の事でも考えておこう……


気づけば七菜美の家の前に着いていた。

まだ10分早いな……

5分後に行こうと決めたその時、目の前のドアがガチャリと開いた。


「春樹おはよう!早いね」

「お、お、おはよう……ご、ごめん……少し早く着いてしまった……」


七菜美はこの前買った服を着ていた。

可愛いすぎる……

心臓は暴れ、顔は多分赤い。

七菜美が俺の目の前に近づく。


「どうしたの?固まって」

「い、いや……」


気持ちを声に出せ……

声に出すんだ俺!!


「その服……似合ってるよ……か、可愛い」

「ひぇっ!?……あ、ありがとう……い、行こっか……」


やばい……羞恥心で死んでしまいそうだ。

まあ、七菜美の顔も茹でたこ状態だから、おあいこって事だ……


こうして、俺の決戦は始まった……





~あとがき~

いよいよデート編スタートです!!

春樹のホントの勝負が始まります!

お楽しみに!

よろしくお願いします!

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