第33話 宣戦布告②

連休は終わり、学校が始まって数日が過ぎた。


「2週間後にはテストだぞ〜しっかり勉強するように」


そう言いながら先生はテストの範囲表を配り出した。

もうテストか……

正直高校の勉強は難しい。

このペースじゃちょっとやばい。

そう思うが、何故かモチベーションが上がらない。

そんな事を考えていると、隣の坂石さんが話しかけてきた


「今井君、今日空いてるかな?ちょっと今日の授業のとこ心配で……」

「大丈夫だよ。じゃあ、放課後図書室行こっか!」


部活がない日は、こうして坂石さんと勉強することが多い。

お互いに得意と苦手が逆で、教える、教わるにはちょうどいい。

坂石さんは勉強熱心で凄いな……

俺も見習わないとな……


秋大と楓には先に帰ってもらい、図書室に移動する。

相変わらず人が少ないな……

席に座り、数分経つと坂石さんが到着した。


「お待たせ〜 えっと……ここなんだけど……」


少し慌てて教科書を出し、ページをめくる。

そして目の前に来た綺麗な黒髪を耳にかける。

その行動に、俺の心臓は飛び跳ねる。

くっ、可愛いすぎる!

坂石さんはちょっとした仕草がいちいち可愛いすぎるのだ。


「今井君〜聞こえてる?」

「あ、ごめんごめん。ここだね、ここはね……」


少し教えると、「あっ、なるほど!」と問題点は解決したようだ。

なんせ坂石さんは理解が早い。

問題が解けた時には喜んでくれるので、こっちも教えがいがある。


「そう言えばさ、テスト範囲配られたね」

「そうだね、範囲はそこまでだけど英語がな……」


すると坂石さんが少し俯いた


「えっと、その、今井君にとって楓ちゃんや村上君ってどんな存在?」

「え、えっと……なんて言うんだろう。あいつら無しじゃ人生楽しくないなって感じかな。

友達というより、かけがえのない人みたいな?急にどうしたの?」

「そ、そうなんだ……じゃあ、私は?」


聞かれると思わなかった質問に驚いた。

好きだと伝えるべきか悩んだが、今はその覚悟は出来ていない。


「あいつらと同じで坂石さんも大切な人だよ」

「そ、そっか……ありがとう……」


俯いているが、顔が少し赤くなっているのが見える。


何だか恥ずかしい……

あれ?好きとは言ってないものも、大切な人って好きと同じなのでは?!

自分の発言を振り返り、羞恥で顔が熱くなる。

すると突然坂石さんが話始めた。


「あ、あのさ……今回のテスト合計点で勝負しようよ!」

「え、あ、うん」


今日の坂石さんは話があっちに行ったりこっちに来たりとなんか変だな……


「……で、負けた方は勝った方の願いを1つ叶えるの!……その、わ、私が勝ったらさ、な、七菜美って呼んで欲しいな……」

「へ?」

「だ、だって、楓ちゃんとかも下の名前じゃん……さ、さっき私は楓ちゃん達と同じような存在って言ってくれたよね。じゃあ私も下の名前で呼んで欲しいなーなんて……じゃ、じゃあまた明日ね!ありがとう!」

「あ、ちょっと……」


顔を真っ赤にしながらドタドタと急いで帰って行った。

やられた。

だからあんなこと聞いてきたのか……

いや、逆に言えば俺が勝てば俺の願いは叶う……

絶対勝ってデートしてもらおう!

そこで告白だ!!

一気に勉強へのモチベーションがとび上がる。

それにしても坂石さん、なんで名前で読んで欲しいんだろう?まさか俺の事……

それは自意識過剰すぎだな。あはは

よし、俺も帰るか……


勉強のやる気をみなぎらせ、家に帰った。



~あとがき~

さあ、どっちが勝つでしょうか!


1000PV達成致しました。

ほんとにありがとうございます!

これからもよろしくお願いします!

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