第20話 ハプニング

「じゃあ行こっか!」


そう言って私は今井君と図書室に向かう。

今日も一緒に勉強できる。幸せだ……


図書室に着き、前と同じくドアに1番近い席に座る。

周りを見渡すと、委員会の人、本を立ち読みしている人たちが6人ほどいた。

2人きりが良かったな……

まあ学校にいる限り2人きりはめったになれないけれど……


そして勉強を始める。

一生懸命教えてくれる今井君がカッコイイ。

正直勉強よりも、今井君に集中してしまっていた。

ふと、楓ちゃんの言葉を思い出す


『春樹、自分のことになるとかなり鈍感だからな〜 もっと七菜美ちゃんが攻めてかないと!』


うぅぅ〜 攻めるって何すればいいのよ〜


「坂石さん聞いてる?」

「あっ、うん聞いてるよ!そこにはこの公式でしょ?」

「いや、ここにはこの公式だよ」


笑顔で間違えを指摘され、何だか嬉しかった。

笑顔は可愛いな……

でも、今日の体育の時間はほんとにカッコよかった……


ハッと、我に返る。

今は勉強に集中しないと!

私の変な感じに気づいたのか、今井君はあることを提案した。


「ちょっと休憩しよっか。坂石さん本好きだよね?おすすめを教えてくれない?」

「あ、うん!じゃあこっちに来て!」


私は1番好きな本を紹介する。

に買った本だ……

あと少しで届きそうなんだけどなー

背伸びして、本を掴んだ瞬間、バランスを崩した。


「危ない!!」


今井君がそう叫び、何が起きたかわからないまま、気付けば今井君の上に寝ていた。

彼の顔がすぐそこにある。

キスだってすぐにできるような距離だった。

顔が一瞬にして真っ赤になる。

心臓が一気に加速する。

しばらく目が合った状態が続いた。


「ご、ごめん。大丈夫?」

「う、うん。大丈夫だよ、ありがとう……」


何この空気?めっちゃ気まずいんですけどー!

でも今井君とは離れたくない。


「坂石さん。そ、そのー当たってるよ……」


ん?何が?

そう思い私は自分の体を見る。

そこには私の日本アルプスが今井君に当たっていた。


「ひぁっ!ご、ごめん……」

「い、いや別に…… そろそろどいてくれるかな?」


今井君も顔を真っ赤にしながら、どいてと言われた。

でも楓ちゃんに攻めろって言われたし、ここで引き下がる訳には……


「凄い音がしたけど大丈夫ですか?」


委員会の人に声をかけられ、慌てて今井君の上からどく。


「大丈夫です。ご心配お掛けしました。」


私がそう言うとスタスタと戻って行った。


「今井君、ありがとね…… 今井君は大丈夫?」

「いいよいいよ。俺は全然大丈夫!それよりおすすめの本どれだっけ?」


まだお互いに顔が赤い気がするが、会話を何とか続けていく。


「これなんだけど、恋愛系のやつだね。」

「ほんとに!?俺恋愛系凄い好きなんだ!……この本どっかで見た気が……」

「ん?なんて言った?」


最後の方が聞き取れなかったので、聞き返したが「何でもないよ」と笑顔で言われたので、じゃあいっかと思った。

そして、また勉強を始めた。


最後の方は、何とか集中できた。

気付けば下校時間の15分前だった。

片付けをし、正門をでる。


「今日はありがとう。めっちゃ助かったよ!」

「それは良かった。じゃあまた明日ね」

「うん。バイバイ!」


ほんとはもっと一緒にいたい。

でもそれは、夢がかなってからのお楽しみだ……




***

坂石さんと別れ、1人で帰りながら、さっきのことを思い出す。

なんか今日はいろいろあったな、

坂石さんって思った以上に軽かったな……

そんなことを思い出しながら、やっぱりもっと一緒にいたいなと思う。

でもそれは、夢がかなってからのお楽しみにしておくとしよう……




~あとがき~

割とベタなハプニングでしたが、書いててとても楽しかったです。

これからもよろしくお願いします!

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