第17話 とある休日(七菜美視点)

今井君と連絡先を交換して、毎日連絡している。

正直自分から送るとなると、何を送ればいいのか分からないので、今井君から送ってくれるのはとても助かる。

今井君にとっては、私は友達なのだろうか。

それとも、それ以下かそれ以上か……

考えても無駄なので、今日はせっかくの土曜日なため、グータラしようと思った。

机に置いておいた、スマホが電話の着信音を鳴らしている。

もしかしたら今井君!?

そんな奇跡は起こらなかった……


「もしもし、七菜美ちゃん?今時間大丈夫?」

「やっほー楓ちゃん。大丈夫だけど、どうしたの?」

「率直に聞くけどさ、七菜美ちゃんって春樹のこと好き?」


突然の質問につい戸惑ってしまう……


「な、なんでそう思ったの?」

「だって笑顔とか、話し方とか声のトーンとか、春樹と他の人と話す時でなんか違う感じがしたからね〜」


女の直感なのか……

楓ちゃんは悪い人では無いし、もうバレてるし、言っていっか……


「よく分かったね。自分でも分かんなかったや!わ、私は今井君がす、好きだよ」

「やっぱりか〜 酷い言い方をするけど春樹は別にそんなイケメンではないじゃん?なのに会って間もないのになんで好きになったの?」

「実は小学5年の時に……」


楓ちゃんに今まであったことを話した。


「なるほど…… そんなことがあったとはね!」

「そうなの、でも今井君は覚えてないかもね」

「どうだろう?春樹記憶力いいから何となくは覚えてると思うよ?ただその子が七菜美ちゃんとは思ってない気がするけど……」


やっぱりそうだよな……

別に覚えていて欲しかった訳では無い。

ただ、成長を見て欲しかったというか、褒めて欲しいというか……

よく分からない思い湧き上がる。

再びスマホから楓ちゃんの声がした。


「七菜美ちゃんは春樹とどうなりたい?」

「つ、付き合って、さ、最終的には結婚したいかな……」


恥ずかしい……

顔か真っ赤になるのがよく分かる。

でも自分の気持ちは正直に言えたので良かった


「本気なんだね。もちろん当然七菜美ちゃんを応援するよ!何か出来ることがあったら言ってね!春樹とは電話した事ある?」

「電話はまだないんだ〜 休みで会えないし、声は聞きたいな〜 なんてね」

「乙女だな〜 今日昼から春樹が電話するから待っててね!じゃあ」


ツーツー

電話が切れた。

昼から電話ってどういう事なの?


疑問を持ったまま、私は素早くご飯を済ませ、スマホの前で正座していた。


スマホから電話の着信音が鳴る。

画面を見ると、ほんとに今井君からだった。


「もしもし今井君?どうしたの?」


そこから少しだけ話し、最後にもう一度電話する約束をする事ができた。

さすがに「声を聞きたかったから」と言われた時は、心臓が破裂するかと思ったが……




8時になった時、電話がかかってきた。

誰かな?と、画面を見ると今井君からだった。

その画面を見るだけで、とんでもないくらいに嬉しかった。


「もしもし坂石さん?今大丈夫?」

「うん!大丈夫だよ!」


そこから10分ほど話した。

ずっと緊張していて、ろくに話せなかったことは察して頂こう……


今日は、多分今までで1番幸せな土曜日だったな……

そんなことを思いながら、布団に入っていったのだった……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る