第18話 男のバトル

今日から学校が始まる。

今までは憂鬱になる月曜日だったが、今は違う。

むしろ学校が始あって嬉しいのだ!


クラスに入ると、俺の隣の席の坂石さんが視界に入った。

2日ぶりに見るその美しい姿に、俺は相変わらず見とれていた。


誰かにけつを軽く蹴られる。

誰だ?と後ろを見ると、相田だった。


「入り口で止まってんじゃねーよ。坂石さんを見れねーじゃねえか」


笑みを浮かべながらそう言ってきた。

恐らく怒ってるとかじゃなく、ノリみたいな感じなんだろう。

ライバル宣言をされて以降会っていなかったが、普通に喋りかけてきたので、少しホットした。


「おっと悪ぃな。ついつい独り占めしたくてな」


向こうにつられ、俺も笑いながらノリに乗る。

何だかおかしくなり、互いに笑った。


「まあ、今日も1日頑張ろうぜ!」


そう言って相田は自分の席に行った。

それにつられ俺も自分の席に行く。

坂石さんに挨拶をする。


「坂石さんおはよう!」

「おはよう今井君。今井君って相田君と結構仲良いんだね!」

「な、仲がいい?まあ、そうとも言えるのかな?良きライバルであるのは確かだね……」


俺たちが恋に関してもライバルなんて事は坂石さんは当然知らない……


今日は、1~3時間目まで体力テストだ。

俺としては何とかここでいい所をみせたい……

もちろん成績も欲しいから頑張ろうと思う。


1、2時間目は室内競技だった。

上体起こし、反復横跳びなどの競技を行った。

もうA評価はほぼ確実だが、ホントの勝負はここからだった。


3時間目は1500mだ。

陸上部長距離なので、得意だ。

いつもなら、1位は普通にとれていた。

だが今回は相田がいる……

力の差はほとんど無く、勝てるか正直分からない……

だか坂石さんにいい所を見せるために、この勝負は絶対に負けられない!

その気持ちは相田も同じだろう……


準備運動などが終わり、スタートラインに立つ。

すると、隣の相田が喋りかけてきた。


「お前にはぜってー負けねー!」

「奇遇だな、俺もお前だけには絶対負けたくない」


俺が答えるとすぐに、ピストルの音が鳴った。

俺と相田は同時にスタートする。

スタートはいい感じだ。満点のタイムでゴールするのは余裕だが、今回は相田に勝たなければならない。


俺が少し前に出ると、それに相田は付いてきて、抜かし返してくる。

もはや体育の授業と言うより、試合の状況に近かった。

学校のグラウンドのトラックは1周300mなため、今回は5周する。

1周目、2周目と過ぎていき、気付けば最後の5周目だった。

男女交互で行うため、見学している女子たちから応援される。


「今井君ラスト頑張れー」

「相田君ファイト〜」


その中に、坂石さんの声が微かに聞こえた。


「今井君、頑張って!」


その声を聞いた瞬間、今までにないほどのスピードが出た。

相田は何とか付いてこようとするが、少し遅れ始めた。

そして俺が先にゴールした。相田とは1秒差で……


「はーはー」


肺が苦しい。

そんな中、顔を上げると坂石さんの姿が少し先にあった。

グッジョブ!と、拳を突き出したので、俺は頑張った甲斐があったな……

と思い、微笑んだ。





~あとがき~

熱い戦いが伝わったでしょうか?

なんか正々堂々とした恋の戦いはいいですよね!

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