第57話城伯5

「報告書にはなんて書いてあるんだい?」


 義父からの報告書を読んでいると、ほぼ健康を取り戻されたドウラさんが話しかけてくれました。

 私の築城を心配してくれています。

 ありがたい話です。


「築城は順調に進んでいるようです。

 とは言っても、家臣達は全員テント暮らしで、疲れがたまっているそうです。

 早く主要な濠と城壁を完成させて、安全な部屋を確保したいとあります」


「義親父さんやお母さんはそっちにいるんだよな?」


「はい、二人は城代として領地に行ってくれています。

 妹と弟は、こっちで文武の勉強をしています」


 義父は皇室に仕える徒士でしたし、冒険者時代の実績もそれなりにありますから、冒険者を束ねることも、領地を管理することもできます。

 母上も、実父義父と二つの徒士家の妻としての経験もあれば、冒険者時代の実績もありますから、十分義父の補佐くらいはできます。

 築城家の指示通りに家臣を働かせて、ホセイ城伯家家臣団を束ねてくれます。


 ですが、三人の妹と一人の弟を、あんなまだ何もない領地には行かせられません。

 四人は皇都で文武に励んでもらいたかったのです。

 ですが、それでは不用心過ぎると、皆に止められてしまいました。

 特にレオン第四皇子には、人質にしようと悪巧みする者が現れると、厳しく注意されてしまいました。


 ですが、私にも譲れない考えがあります。

 私のせいで、店一つない築城中の辺境に、青春真っ盛り弟妹を、行かせるわけにはいきません。

 私がそう言うと、レオン第四皇子が折れてくださいました。

 魔都で生活させればいいという事でした。


 確かに魔都なら大いに繁栄していて店も多いです。

 文武の勉強をするにも最適です。

 私が直接指導してあげる事もできます。

 ジョージ様もマルティン様もおおいに賛成してくれて、レオン第四皇子付きの学者達から直接学べるように、色々と手配してくださいました。

 レオン第四皇子が直々に許可してくださいましたから、間違いありません。


 ホセイ家で新たに結成した、魔都駐屯の徒士団騎士団に預けて、魔獣を狩る実戦訓練の参加させることも可能です。

 ゲイツクランで実績のある者を中心に、将来性のある若者達を魔都駐屯部隊に残しましたから、安心して弟妹を預けることができます。


「それじゃあ、そろそろ本気で属性竜を探すとするかね。

 レオン殿下もかなり実力をつけている。

 お付きの近衛騎士達も、逃げる時の囮くらいには使えるようになった。

 私も八割は元通りに動ける」


 いよいよです。

 いよいよ三頭目の属性竜狩りです!

 

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