第56話城伯4

「城の縄張りが順調に進んでいるんだって?」


 亜竜の一種、鉤竜の群れを狩っている時に、レオン第四皇子が話しかけてきます。

 もっと真剣に狩りに集中して欲しいモノですが、皇子殿下に聞かれたことに答えないわけにはいきません。


「はい、レオン殿下が紹介してくださった築城家が優秀で、いい城が完成しそうで、全てレオン殿下のお陰でございます」


「なあに、全部ラナの英断の賜物さ。

 千人でいいところを、五千人も家臣を召し抱えてくれたんだ。

 皇室や皇国の評価がとてもよくなっている」


「とんでもございません。

 皆が色々と助言してくれた結果でございます」


 嘘ではありません。

 全部ドウラさんをはじめとする、仲間たちの助言のお陰です。

 役目中の狩りで採算の取れる部屋住みを全員召し抱える代わりに、辺境の魔境と未開地を領地にもらえと言う助言に従ったら、本当に辺境の大きな魔境を一つを丸々領地に頂けました。


 もっとも、今迄皇室皇国に入魔料金を払って狩りをしていた貴族士族領民には、同じ入魔料金で狩りを認めなければいけませんし、今迄入魔管理をしていた冒険者ギルドを領民として認めなければいけませんでした。

 まあ、今迄も指導管理を皇国の代官所がしていたように、これからも私が設置した代官所が指導管理しますから、問題はないと思います。


 まあ、でも、五千人全員が魔兎や魔鼠を狩れるわけではありません。

 半数とは言いませんが、千人くらいは見習で、荷物持ちしかできません。

 ですが、実家がそれなりに力を持っている者達です。

 本人の性格も真面目で向上心があるそうです。

 

 死なないように気をつけて狩りを経験させれば、確実に魔兎や魔鼠を狩れるくらいには成長すると、ゲイツクランの古参幹部が保証してくれました。

 私は最低二度の審査をしました。

 時には三度四度五度と審査しました。

 

 一度目の書類審査では、ドウラさん、ジョージ様、マルティン様、義父ヴィクトルに加え、レオン第四皇子までもが加わり、それぞれの情報網を駆使して、召し抱えてはいけないモノを除外してくれました。

 私が独身の女城伯なので、家を乗っ取ろうと画策した貴族家や士族家が送り込んできたモノや、どうしようもない下劣なモノもいるそうです。


 レオン第四皇子が、私が怒ってそんなモノ達を殺してしまったら、自分が跡始末させられるので、うかつに面接もされられないと言いだしたのには、おもわず笑ってしまいました。

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