第30話ドラゴンスレイヤー

「そろそろいいだろう。

 ラナ、イヴァン、ダニエル、フリーダ、アンゲリカ、ブリギッテ、ギュンター。

 七人で鉤竜を狩ってみな」


 増えすぎた鉤竜を間引く意味もあって、私達破竜隊は鉤竜を中心に狩りを行っていたが、三カ月ほどしてドウラさんがとんでもない事を言いだした。

 私達前衛職だけで鉤竜を狩れと言われたのだ。

 さすがにそれは腰が引けるが、ドウラさんが口にする以上冗談ではない。

 私達ならやれると、見込んでくださったのだろう。


 確かに集められたメンバーはゲイツクランでもパーティーリーダーばかりだ。

 それも、ゲイツクランでも上位四パーティーもリーダーだ。

 まあ私達三人は研修パーティーのリーダーだが、ドウラさんの直弟子だから別格扱いなのだろう。

 そして四人は、何度か破竜隊に加わって鉤竜を狩ったことがある。

 その時は単に鉤竜狩りを経験させるためだと思っていたのですが、明確な目的があったのですね。


「指揮はラナにやってもらう。

 上手くみんなを使いな。

 止めもラナに任せる。

 囮はイヴァン、ダニエルだ。

 他の四人は武器と装備が心許ない。

 不意の乱入に備えていな」


「「「「「はい!」」」」」


 胃が痛いです。

 責任重大です。

 私よりはるかに経験豊富な四人の幹部を指揮しろなんて、無茶過ぎます。

 理由は分かっていますよ。

 認めたくないですが、正当な理由があります。


 臨時リーダーの経験しかなくても、鉤竜狩りだけは、破竜隊の三人が一番経験が豊富ですし、武器と防具も他の四人とは隔絶しています。

 破竜隊のメンバーは、自分達で狩った、いえ、エマとニカに狩ってもらった鉤竜の素材を惜しげなく使い、金に糸目を付けずに、特急料金で鉤竜骨革鱗鎧と鉤竜牙槍と鉤竜牙剣を手に入れているのです。

 鉤竜と直接対峙するのも、指揮を執るのも、間違いではないです。


 事前準備は万全を期しました。

 金に糸目を付けぬ準備をしました。

 鉤竜より早く動けるように、通常の速度と瞬発力を向上させる魔術巻物や、体力・持続力・防御力を向上させる魔術巻物も買いました。

 それらを惜しげもなく使って、鉤竜を狩りに挑みました。


 結果は、事前の不安と恐怖が嘘のように、あっけないモノでした。

 あまりにも簡単に鉤竜が狩れてしまいました。

 イヴァンとダニエルが釣りだした鉤竜を、私も加わって狩る。

 素材として眼を失うことになりますが、目と耳を槍で突いて脳を破壊する。

 一撃とはいいませんし、楽にともいいませんが、こちらは全く攻撃を受けることなく、鉤竜を狩ることができました。

 それも最初の狩りで十一頭も!

 私達は胸を張ってドラゴンスレイヤーを名乗る事ができるようになりました!

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