第21話天誅
「うっへへへへ!
もう逃げられんぞ。
よくも散々恥をかかせてくれたな。
もっと早く俺の言う事を聞いていればよかったんだよ。
そうすればこんなことにならなかったんだ。
だがもう逃がさないからな。
全員で、吐くまで嬲ってやるよ」
「「「「「ぐへへへへ」」」」」
「恥知らず!
それでも準男爵ですか!
騎士団員ですか!
絶対に許さない!
泣き寝入りなんてしない!
訴えてやる!」
「ふっふっふっふ。
死人に口なしなんだよ」
「はぁあ?!
何が死人に口なしだ!
死ぬのはてめえらだ!」
ドウラさんの怒りは激烈でした。
情け容赦が一切ありませんでした。
まあ、私も必要ないと思いますが、私にはあれほどの事はできません。
だって乙女ですから。
そして一瞬でした。
何の躊躇いもなく、皇国に仕える士族の騎士を叩きのめしました。
ドウラさんは最初に屑騎士が抵抗できないようにしました。
十一人の騎士の四肢を、膝と肘の部分で粉砕したのです。
これはかなり残虐な骨の折り方です。
前腕や上腕、下腿や上腿で折れば、努力次第で元通り使う事も可能です。
ですが関節部で折られたら、特に骨を粉砕されたら、ほぼ完治は不可能です。
関節が元通り動くことはありませんし、動かすたびに激痛が走ります。
「ラナ、三人を連れて団本部に戻ってな。
これから先は女子供の見るもんじゃないよ」
「はい、こちらに来てください」
たぶん拷問するのでしょう。
眼を覆い耳を塞ぎたくなるような凄惨な拷問のようです。
私達を一人前の冒険者にするために、殺人を経験させるほどのドウラさんが、私達に席を外せというくらいですから。
まあ、我が家やゲイツ家に気を使ったこともあるでしょう。
底辺に近い士族家、徒士家と騎士家とはいえ、これでも皇国に仕える士族です。
明らかな犯罪者であろうと、皇国騎士相手に私刑を下すのです。
参加するのが不味いのは誰の目にも明らかです。
「さて、これは冒険者に伝わる私刑だ。
冒険者同士の闇討ちじゃあ、ここまではやらん。
冒険者が依頼人を裏切ったり、何の罪もない女子供を襲った時に行う私刑だ。
普段偉そうに地位を振りかざして平気で強請り集りをする、誇り高い皇国騎士団様だからこそ、皇帝陛下の御名を穢した時の罰は心得ているよな」
「やめろ、やめんか!
俺は準男爵だぞ!
こんなことしてタダですむと思うなよ!」
私達が母娘の家を出ようとしたとき、首謀者であろう男の声が聞こえました。
馬鹿です。
そんな事を言ったら、ドウラさんの怒りの炎に油を注ぐようなモノです。
でも少しは根性があるのかな?
あの状態でドウラさんを脅せるのですから。
いえ、違いますね。
魔法薬でも飲んだのでしょう。
腐っても準男爵様ですからね。
それくらい装備品は持っていたのでしょう。
でも救い難い馬鹿だと思います。
同じ痛みを繰り返すだけなのが分かっていません。
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