第15話魔狗狩りの悪影響

「ドウラさん。

 何とかなりませんかね?」


「亜竜種か……

 そんなに増えてるのかい?」


「はい、こう言ってはなんですが、これはドウラさんの影響です」


「魔狗狩りかい?」


「はい、魔狗が激減したことで、小型の草食や雑食の魔獣が増えました。

 それで駆け出しの冒険者が喰えるようになったのはいいのですが、駆け出しが全て狩れるような増え方ではなかったのです。

 空白状態になった魔狗のテリートリーに、結構な数の鉤竜が現れたのです」


「そうか、だがもうちょっと待ってくれ。

 今の実力と装備じゃ、死ぬのは眼に見えている。

 正直私も全盛期の力じゃない。

 若手が育ち切らないと無理だね。

 だがまあもう少しで鉤竜なら狩れるようになると思う。

 魔狗狩りは中止するから、しばらくしたら状況は元に戻るさ」


「そうですか、しかたありませんね。

 ギルドも死ねというような依頼は強制できませんし……」


「若い連中には、しばらく大ダンジョンの方に行かせな。

 ちったあ稼げたんだから、そこそこ装備も整っているだろ」


「そうですね。

 そうします」


 ドウラさんと冒険者ギルドの話し合いは終わりました。

 どうやら稼ぎ時は終わったようです。

 まあ事情が事情ですから、やめるしかありません。

 それに、確かに最近は魔狗の集まりが悪かったです。

 最高一日七群れ千頭の魔狗を狩った事もありましたが、今は一群れ百頭が精々で、魔狗が釣れるまで小型や中型の魔獣を手当たりしだい狩っていましたから。


 ドウラさんは慎重でした。

 亜竜種と遭遇しないように、大魔境に入るのを止めたのです。

 冒険者ギルドと話し合う前は、亜竜種を上手く回避していました。

 だから今でも回避できる思うのです。

 もしかしたら、駆け出しがバカな真似をしないように、ドウラさんでさえ亜竜種から逃げたと思わせようとしたのかもしれません。

 自分の評判よりも、駆け出しの命を優先されたのでしょう。

 本当に漢気のある方です。


 いざ大ダンジョンでの狩りを始めて、私達は驚愕しました。

 これほど身体能力が向上しているとは思ってもいませんでした。

 まあ、いつも通り、エマとニカの成長には全く及びません。

 それは分かっていた事なので、気にしないようにしています。

 私とイヴァンとダニエルの成長が問題なのです。


 それが私達三人が思っていた以上なのです。

 魔豹や魔虎はサクサクと一刀で狩れるのです。

 魔猪や魔鹿も同じです。

 今の私達なら、大ダンジョンなら単独でも狩りができます。

 まあ、さすがに単独は危険すぎますが、魔法袋さえあれば、魔術師なしでも十分狩りができるようになっています。

 全部ドウラさんのお陰です。


「おっと、運がいいね!

 欲しかった素材が手に入りそうだよ。

 絶対に逃がすんじゃないよ!」


 ドウラさんが私達に喝を入れます。

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