誰かのはなし

美雨

生ける屍

わたしは いつから頑張れなくなったの

いつだって 好きなことだけをやっていて

いつも 好きなほうを選んで

好きなことをやらせてもらっているはずなのに


行く先々で また新しい

”やりたくないこと” ができてゆく

それを避けてばかりいるから

いつも時間が足りない


きっと わたしみたいなのを

わがまま っていうんだ

知ってるよ

「お前は甘い」って 心の内では自分を叱ってるから


夜が来れば諦めがつくから ずっとずっと夜でいい

世界の時間は止めてしまって

わたしだけが 動いていられたらいいのに



わたしは いつも追われている

避け続けた挙句に積み重なった

たくさんの ”やるべきこと” に


大人には いい顔をしていたい

これからもいつだって

好きな方を 選ばせてもらえるように


でもそれは そんなことをしてるのは

好きなことだけやっている

生きたわたしじゃなくなってる


でも どうしようもないの

怒られないくらいに 見放されないように

上の下程度を保てるギリギリでしか

生きられないから


いつもいつも 意図的に

そんなスリルを味わってるわけじゃないんだ

でも 自分ではどうしようもないの


夜が来れば諦めがつくから ずっとずっと夜がいい

世界の時間は止めてしまって

わたしだけが 動いていられたらいいのに



好きなことをしたいなら

わがまま は捨てるべきですか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る