曲がり角でぶつかった時から君のことが忘れられない。
いさぎ
プロローグ
「じゃあ私もう行くね!」
「お〜う」
「お兄ちゃんも遅刻せずに行くんだよ!」
「わかってるって」
いつもよりも少し速めに家を出ていく我が妹である椿を適当な返事で見送った俺は、リビングの椅子に座り先程食べるのを中断した朝食を食べながら呑気にテレビを見ていた。
今日、椿の通っている中学校では入学式があるらしい。この春から中学2年生の妹は入学式の最終準備とかなんかで少し速めに学校へ向かったということだ。
ちなみに親は海外に出掛けていていない。ウチの両親は海外を旅行するのが好きでよく海外に行っている。
「新1年生が来るの、椿 嬉しそうにしてたなー」
椿の嬉しそうな顔を思い出しながらテレビを見ていると、ニュース番組が終わり星座占いのコーナーへと切り替わった。
「まだ、入学式まで時間あるし今日から晴れて高校生になる俺の運勢でも見るかぁ!」
そう、俺も今日は高校の入学式があるのだ。
俺はこの春から高校1年生。入学式に遅刻する訳にはいかない。入学式に遅刻したら最初の印象が遅刻野郎になってしまうからな。
てか、ウチの両親は息子である織部 達彦(おりべ たつひこ)こと俺の入学式よりも海外旅行を優先したのか、、、。
俺は悲しいです。
悲しい事実を知った俺は時間に少しだけしか余裕がないが呑気に占いコーナーを見る。俺の星座はかに座なので、かに座が呼ばれるのを俺は待ち構える。
「あれ、全然かに座呼ばれないな」
この占いコーナーは1位から順に星座が発表されていく。今、7位までの星座が発表されたが
まだかに座は呼ばれていない。てっきり、かに座は5位くらいだろうと予想していたが、俺の予想は外れていたらしい。
現在、10位まで発表されていた。
「入学式の日に12位はやだ!頼む!11位であってくれ!」
沈黙が訪れる。心臓のドキドキという音が、聞こえてくる。俺は緊張している。
そして、お姉さんが口を開く。
「11位はさそり座のあなたです!そしてごめんなさい!最下位はかに座のあなたです、」
占いコーナーを担当しているお姉さんが無慈悲にもかに座が最下位ということを伝えてくる
「くそぉおおおおおおおおおおおお!
俺の高校生活がぁああああああああ!」
朝食を食べることを忘れて、朝から1人でギャーギャー騒いでいる俺は、入学式があと40分で始まってしまう事に気づかないのであった。
かに座が最下位であると言うことがお姉さんによって伝えられたあと、
「かに座の人で今日入学式がある人!
入学式がある人で、新1年生として学校に入学する人は、登校する時になにかが起こるかも!曲がり角に注意!」
お姉さんが発した、まるで俺に向けて言ったような言葉は騒いでいる俺の耳には届くはずがなかった。
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