第13話 共振武器

「あの、その魔道具ってどんな物があるんですか?」

「色々あるわよ。刀、剣、弓矢、銃、短剣、斧、メイス、槍、盾、細剣などなど」

 本当に色々あるな。


 てか、銃ってこの世界にあったんだ。

 やっぱり人間考えることは世界は違っても一緒なのかな。


「じゃあ、刀のやつ見せてもらえますか?」

「あ、じゃあ私は銃をお願いします」

「じゃあこっちに来て」


「銃でいいのか?」

「うん、私はあんまり近接戦出来ないから。

 短剣は隠し持ってるけど、慣れてない戦闘しながら魔力操作は返って隙が出来ると思うから」

「それもそっか」


「シンは刀ってまんま男の子だね」

「刀は男子の夢だろ」

「そう?」

「そうだろ」


「はい、着いたわよ」

 来たのは話していた例の物がわんさかある場所だった。


「この中から好きに選んでみて」

「「はい」」


「そういえば、この魔道具の名称って何かあるんですか?」

 欲しいそれを見回して、探しながらながら俺は聞く。


「あぁ、それはね、レゾナンスウェポン、共振武器とも言うわ」


 言語理解のおかげでそう聞こえてるだけなんだろうけど、一瞬この世界にも英語ってあるのかって思っちゃうよな。

 紛らわしい。


「お?」

 俺は黒い1本の刀を見つけた。


 なんか、いいなこれ。


「これにします」

「あ、じゃあ私はこれで」

 俺はその黒い刀、レイは金と銀の2つの拳銃に決めた。


「それを買う?」

「「はい」」


「でも、使えないかもしれないわよ? 大丈夫?」

 本当に心配しているといった様子で、訊いてくる。


「はい、大丈夫です」


「そう、ならいいけど。えっと、両方合わせて金貨6枚と大銀貨5枚、だけど……」

 今度は俺達の所持金の心配をしているのだろう。


「大丈夫です。はい」

 そう言って俺が金貨7枚を渡した。


「あら…」

 学生が大金を何でもないもののように出したことに、驚くウェンズさん。


「え、えっとじゃあ……はい、お釣りの大銀貨5枚ね」

 困惑しながらもお釣りを渡してくる。


「それと、その武器試してみる? ここに使わない広場があるから、そこで良かったら使わせてあげられるわよ?」

「じゃあお願いします」


 ウェンズさんがここで試してみたらどうかと、とてもいい提案をしてくれたのでそれ是非とお願いした。


 ―――――――――


 来た広場もまたでかくて、ここは100メートル四方はあるくらい。


 運動するには十分すぎるほどだ。


「じゃあまず、使い方を説明するわね。まず、それに魔力を流す」

 ウェンズさんの言う通り、俺たちは魔力を流す。


「そうしたら、その武器に自分の魔力が認識されるから、あなたたち以外のものはその武器を魔道具として使えないわ」

 おぉ、すごい。


「もうそれで使えるようになったわよ」

 はっや。

 流すだけで終わっちゃったよ。


 まぁ、まず試してみよう。


 俺は刀に影の魔法を込める。

 すると……。


「おぉ」

 刀に影が纏わりついた。


 ナニコレ、カッコイイ。


「ちなみにそれくらいの出力でも20メートル先の鉄を1振りでスッパリ斬れるからね」

 すげぇ斬れ味!


 じゃあ架空のエクセレトス先生を想像して、身体強化も施して、と。


 俺は影を纏わせたまま、架空のエクセレトス先生と軽く模擬戦をした。


「うん、ちゃんと動ける」

 そして共振武器を使っていても十分動けることを確認し、理想の結果だった為、自然と笑みが浮かぶ。


「私もちゃんと出来たよ。ほら」

 そう言ってレイは俺に向かって雷の弾丸を連射してきた。


「危なっ!」

 俺は影の刀でそれを斬る。


 うわ、斬れた!


「ありゃりゃ、斬られちゃった」

 残念そうな顔をするレイ。


 いや。

「いきなり何すんだよ! めっちゃ怖かったからな! しかも連射て! 」


 レイは俺の苦情を気が付かなかったように無視する。

「おーい!」


「まさか、本当に使えるとはね…」

 ウェンズさんが本当に驚いたという風に呟いた。


「まぁ、プロットに訓練してもらって魔力制御は大将レベルって言われましたから」

「プロット? って……あの四天王のプロット?」

「はい。ってプロット?」

 呼び捨て?


 この世界の人は四天王の人のことを敬称を付けて呼ぶそう。

 でも、ウェンズさんは呼び捨てでその名を言った。


 だから気になったんだ。


「あぁ、私、王城にも魔道具関係のことでよく行ってたりするから結構親しいのよ」

 実はこの人、すごい人だったりする…?


「だから、一応あなた達のことも耳には入ってたの。名前だけじゃほんとにその人達があなた達だったか確信出来なかったから、確信したのはプロットの名前を出したついさっきだけど」

 なるほど。


「あ、そうだ!」

 ウェンズさんは両手を叩きながら何かを閃いた様子。


「レゾナンスウェポンに名前付けましょ!」

「名前?」

「えぇ、それを持ってる人は全員名前を付けてるの」

(あのことはまだ言わなくていいわよね……)


「名前……何がいいかなー」

 レイが悩んでるが、俺はもう決まった。

「『日影』でお願いします」


「うん、分かったわ。シンくんは日影として、レイちゃんは?」

「うーん……」


 レイ、どんな名前付けるんだろうな。

 レイが何かに名付けした所は見たことがない。


 どんなネーミングセンスしてんだろ。


「じゃあ金のほうが雷華で、銀のほうがアポロンでお願いします」

「はい。じゃ、ちょっと待ってて」

 そう言って、ウェンズさんは共振武器を持ってどこかへ行った。


「でも、なんでアポロンと雷華?」

「ほら、アポロンはギリシャ神話の神で光明の神とも言われてるじゃん? それで、雷華は雷が付いた名前ってなんだろーって思ってテキトーに」


 光と雷……。


「あ! スキルの光姫と雷豪から取ったの?」

「うん。シンだってそうでしょ?」

「まぁ、確かに」


 日影は影は言うまでもなく、そして、日は影から連想されるものとして、太陽が思いついたからそうした。


 しばらく待っていると、ウェンズさんが武器を持って戻ってきた。


「はい、じゃあこれ」


 改めて渡された刀には、樋と地の部分を使って日影と彫られていた。


「おぉ、かっこいい」


 銃には、銃把の部分に名前が彫られている。


「じゃあ、もう要は済んだかな?」

「あ、はい。ありがとうございました」


「うん、また来てね」

「はい、その時はよろしくお願いします」


 その後、俺達はまた街へ繰り出した。

 刀は鞘も買ったので腰に付けている。

 レイも同じような感じだ。


 ていうか、これのおかげで残りのお金が、銀貨14枚になってしまった。


「さて、これからどうする?」


 また観光でもいいけど、やりたいことが出来ちゃった。


「私は正直言ってこの武器もっと使えるようになりたい。ていうか極めたい」

「お、奇遇だね。俺も」


 何やらレイも同じ考えだった。


 っつーことは、これからやることは……。


「帰ってプロットに鍛えてもらう?」

「うん、そうしよ」


 そう決まったらすぐに行動に移した。

 転移碑のおかげで5分で帰れた。


 ―――――――――


「プロットー!!」

「ん? おーシンどう……」

「「共振武器の使い方教えて!!」」


 俺達は早く使いたかったので、その気持ちを表すようにプロットに突進していく。


「とりあえず落ち着け」

 プロットは、一瞬にして俺達を無力化して跪かせた。


「「うっ……」」


 こういう目立たないとこですごいなコイツ!


「んで、どうしたんだ? 共振武器っつった?」

「あ、そう。さっき魔道具屋行ってきたんだけどさ、そこで共振武器っての教えてもらって買ったんだ」


「それはまた急な……んで、その共振武器を極めたいと?」

「そゆこと」


「ま、いいぜ」

「「よっしっ!!!」」

 共にガッツポーズする俺達。

「仲良いな、お前ら」

「まぁ、幼馴染みだし」


 行動が重なる俺達を見てプロットはそう言う。


 これが友達同士とかなら、『そんなことないバカ!』とかなんとかなるイメージがあるが、俺らの場合はかなり長い付き合いなので、『逆に仲良くなかったらおかしくない?』という思考に至った。


 ―――――――――


 それからプロットに連れられ訓練所に移動した。


「まずは、使う魔法ごとに型とかあるのは知ってるか?」

「うん、それはウェンズさんに聞いた」


「なるほど……そういえば、お前らは何の共振武器にしたんだ?」


「俺は刀」

「私は双銃です」

 そう言って俺は日影、レイはアポロンと雷華を見えるように掲げる。


「日影、んで、アポロンと雷華、ね。おっけ、覚えた。んじゃあ教えてやる。と、言いたいところだが……」

「ん?」


 俺達の武器の名前を覚えたと言い、教えに入ろうとするが、プロットはそれを躊躇した。


「俺は刀とか剣とかの斬る系なら全部出来るんだが、それ以外は出来ないんだよ。だからレイは別にのやつに頼みたいんだが、いいか?」

「あ、はい、いいですよ」


 そしてレイは、大将のカーミラさんに指導されることになった。

 カーミラさんは双銃を極めて女性で大将に登り詰めたすごい人みたいだ。

 一応席者にも3人女性がいるらしい。


 ……少ないな。


「よし、んじゃあ始めるぞ」

「よしっ! 頼む!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る