嫉妬狂想曲~妬けば妬くほど強くなる~

狂谷檬檸

プロローグ

 世界が色褪せて見える。たった一度、好きな子に振られただけなのに。

 

 破滅を望んでしまう。窓に当たる風の音が耳障りな授業中も。

 換気扇の音がやたらとうるさい入浴中も。何をしていても。


 世界が、渇いて見える。

 

 こんなことなら、告白しなきゃよかったなぁ。


 あの日、あの朝日の中で、抑えきれず出た言葉。今もあの空き教室の中を漂っているのならば、今すぐ吸い込んでなかったことにしてしまいたい。

 ありがとう、でもごめんね。

 そんな相手の――鹿南ちゃんの言葉も。

 

 鳥のさえずりが聞こえる。願いも空しく朝が来た。こんなにも清々しく訪れた。眠れず、ゆらゆらとした頭を全力で振り上げてベッドを抜けた。

 カーテンを開けた。

 この射し込む光さえ。

 少し前までは、鹿南ちゃんに繋がる道しるべにすら見えたのに。


 全てあの男せいだ!

 許せない。許せねぇ。許せねぇ!


 今もあの二人は、おはようなんてラインのやりとりをしているのかもしれない。

 なんなら、寝落ち通話でもしていて今まさに会話を……。


 ああああああああああああああ!


 許せねぇ、許せねぇ、許せねぇ!


 許せねぇよちくしょおおおおおおおおおおおおお!

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