第2話
「セブンスター1つ下さい。」
彼女はコンビニでいつものようにタバコを買い、外の出てタバコに火をつけ真っ暗な夜道を歩く。少しずつ夏の終わりを告げる冷たい風が吹く。
部屋に帰ると、着ていた服を脱ぎ捨てて布団に入り眠った。
ワンルームの殺風景な部屋は、ある程度必要な物だけ置いてあるだけで生活感があまり感じられない。
彼女の名前は、田中千尋(24)。キャバクラで生計を立てているフリーターだ。それなりに愛嬌もノリも良く人懐っこい性格で男女共に好かれる方だが、彼女は何を得ても満たされない心にずっと苦しんでいた。
それを僕が知ったのはもっと後のお話だ。
(今日暇な人。)
目が覚めた私はSNSで暇な人を探した。家に一人で居たくないから仕事が休みの日のルーティンだ。
ーピロロン
通知が鳴りiPhoneに目を向ける
(暇だよ~ご飯でもどう?)
もちろん連絡をよこしてきた男のことは何も知らない。ご飯とかいって、どうせそれだけでは済まないの事だけは知ってる。でもなんでもよかった。空っぽな心が少しでも癒えるなら、少しでも可哀想な私を慰められるなら
(いいよ。どこにする。)
ある程度場所と時間を決めて身支度を始める。私、いつか殺されるな。と心で嘲笑いながら待ち合わせ時間より少し遅く着くように家を出ていくのはもう慣れたもんだ。
女友達は、セックスは幸せで気持ちいい。だなんて言うけど私には分からない。まぁ確かに女の私に欲情して、求められている時の感覚はたまらなく気持ちいいかもしれない。と考えながら電車に揺られる。
男との待ち合わせ場所につき合流して食事場所を探す。考えとけよ、とも思ったけど一応黙っておく。私は近場チェーン店の居酒屋を指差し誘導した。
そこそこお腹いっぱいになりお開きの雰囲気になったが、男は粘り口を開く。
「まだ時間ある?この後どうしようか」って。
なんだこいつ回りくどいな、なんて思っちゃいけません。でも面倒くさいのは嫌いだから返す言葉は決まっている。
「眠たくなってきちゃったからホテル行こうよ。」
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