しこたま怒られた、キサラギ何も悪くないのに。
しこたま怒られた、キサラギ何も悪くないのに。
昨日の日記見返したら我ながら動揺しすぎて笑える、やっぱりまだクソメンタルだな。
さてと、まずは昨日日記を書き終えた後のキサラギの行動を書いていこう。
キサラギはあの後ある程度装備を整えて家を飛び出した、階段降りたところでコンビニ帰りの203号室の小説家さんに会った、こんな夜遅くに危ないよって言われたけど『同居人を探しに行ってきます』って書いた端末見せて速攻で帚星荘を後にした。
で、とりあえず狩場に向かって走った。
半分くらい進んだところで背後から怒鳴られた。
振り返ったら同居人が立ってた、息を荒くして随分と慌てた様子だった。
それで滅茶苦茶罵倒された、こんな時間に何1人でほっつき歩ってるとか、女がこんな時間に出歩くなとか、色々。
おまえがいうか、って思った。
というかキサラギがあんな時間に出掛ける羽目になったの全部同居人のせいだったのに。
怒鳴られたせいでプチパニックに陥ってまた過呼吸起こした、頭がぐわわーんとした、ホントこのクソメンタル早くどうにかならないだろうか、無理だろうか?
多少は寝不足も響いてはいたんだろうけど、久々きついのがきたな、意識落ちるかと思った。
頭ごなしに怒鳴られた後一回抱きしめられて、その後手を引かれて家に帰った。
一応、一応謝られた、許してないけど、一応、謝られた。
それでその後道中でその日何があったのか聞かされた。
同居人は朝、狩場に向かう途中で黒スーツのいかにもな連中に取り囲まれたらしい。
それでこう聞かれたんだって「如月月兎様ですね?」って。
どうもそいつらは同居人をキサラギだと勘違いしたっぽい。
なんか気味悪いことにある程度キサラギの事調べられてたらしいけど……まあ間違っても無理ないかあ……
ツキトとイオリじゃイオリのがまだ女っぽい名前だもんな、取り違えられてもおかしくはない。
そもそも女っぽい名前だと舐められそうだからって思って男っぽい名前にしたんだし。
同居人も狩場では如月で通してるらしいし。
勘違いされた時点で違うって言えばいいのに同居人のやつキサラギのふりして少し様子を伺ったらしい。
それでなんとなーく事情を察して有無を言わさず「ついてこい」ってなった時点で全員ぶちのめした上で大家さんに連絡とったんだってさ、何故この時点でキサラギに一報入れなかった。
そう問い詰めたらデコピンされた「なんで妙な会社から勧誘受けてたの黙ってた」って。
だってそんな強行手段取るようなやばいとこだと思ってなかったし、ちゃんとお断りメール送り返してたし。
一回目の時はともかく二回目の方は絶賛喧嘩中だったしなあ、そうじゃなかったら世間話程度には話してたかもだけど。
でも普通こうなるとは思わないじゃん。
同居人が大家さんに連絡とったら大家さんは元々別件でその会社のこと調べてて色々黒い証拠握ってたから「それなら一緒に潰しに行こうぜ」ってなったらしくて……
ノリが軽くない? いくらそこまで大きくはないとはいえ怪しげな会社相手にさあ?
でもまあ大家さんとこいつらしいノリだとは思う、同居人はまだかろうじて人間レベルだけど、大家さんは人外とか怪物レベルだし。
そういえば若い時は神殺しとか呼ばれてたらしい、実際神に近しい精霊を一体半殺しにしてるみたいだし。
……うちの大家さん、だいぶやばいな?
そして同居人よ、この時点でも何故連絡を入れなかった。
喧嘩中とはいえ、というか喧嘩中だったからこそ同居人はキサラギに連絡するべきだったし、それでバトンタッチすればよかった。
というかそもそも全部知らん顔して全部ほっとけばよかったのに。
だって同居人にはそもそもほぼ関係ない話だったわけで。
そう思ってぺちぺちしたら「お前に出しゃばられたらこっちの気苦労が十倍以上に跳ね上がるから連絡はしなかった」って。
流石に十倍以上はおかしくない? むしろ戦力増強じゃん喜べよ。
そう問いかけたらクソでかい溜息を吐かれた。
キサラギに何かあったらと思うと血の気が引くんだってさ、喧嘩中でなかったとしても過保護すぎやしないかね。
キサラギ、そこまで弱くないのに。
お前はキサラギをどこまで弱いと思っているんだ馬鹿にしてんのかって聞いてみたら「弱いとは思ってねーが何かあってもお前じゃ助けすら呼べないだろう、何かあったらどうするつもりだ」って。
いやまそうだけどさ。
……こいつひょっとしてまだあの時のこと気にしてんのか?
あの時は結局何事もなかったんだからいいじゃん。
いや吐いたけどさ、二、三日メンタル死んでたけどさ、肉体的には無事だったじゃん。
ホント大袈裟なんだから。
もう少しこの辺を突っ込んでもよかったんだけど、平行線になりそうだったので話を進めることにした。
それでどうなったのか聞いてみると、同居人は大家さんとそのお友達さん(お友達さんの妹さんがこの会社の被害者だったらしい、大家さんがこの会社に関して調べてたのはお友達さんからの依頼だったらしい)と本社に突撃かましたそうだ。
そうしたらいろんなやばいもんが出てくる出てくる……って状況だったらしい。
もうほとんど『悪の組織』状態だったらしくてさ、違法に捕まえられた(あるいは正当な契約者から奪われた)精霊達が死にかけるまで使役されてたり、致死性の高い違法なアイテムが量産されそうになってたり、色々。
大家さん一行はやばいところを壊してまわって、社員全員とっ捕まえた。
抵抗する奴はぶん殴ってふんじばった、らしい。
恐ろしいことに同居人の出る幕はほぼなかったそうで、ほぼ大家さんとお友達さん(シスコンらしい)の独壇場だったんだって。
ある程度暴れまくって制圧した後に大家さんの伝手で警察呼んで、それから事情聴取が開始。
思いの外それに時間がかかって、慌てて帚星荘に帰ってきたらちょうど203号室の小説家さんに会って、キサラギが同居人を探しに飛び出してった事を聞かされて慌てて探してたらしい。
どうもちょうど入れ違ったっぽい。
その辺りまで話したところで帚星荘についた、帰ってきた時に203号室の小説家さんが顔を出してきたのでお騒がせして申し訳ありませんでしたと謝った。
小説家さんは「何事もなさそうでよかった」って笑ってくれた、いい人。
部屋に入った後、2人でご飯を食べた。
と言ってももう随分遅い時間だったので軽食だったけど。
キサラギは前日買い込んでいた菓子パンを一個(エナドリも飲もうとしたら何故か奪い取られた)、同居人はコンビニおにぎり(たらことツナマヨ)だった。
食べ終わった後交互に風呂に入った、風呂上がった後作業の続きやろうとしたらなんでか知らんが布団に引きずり込まれた。
抵抗しようとしたら「寝ろ」って、もう二日も寝てないだろうって。
まだ二日だって言ったら頭小突かれた、逃げようとしたけど腕力では敵わなかったので仕方なく抱き枕状態に。
寝る気はなかったんだけどいつの間にか寝てたらしい、気が付いたらなんとびっくり、夕方になっていた。
ちなみに同居人は昼過ぎにはもう目が覚めていたらしい、何故キサラギはその時に起きなかったんだろう。
頭がうまくごかなかったのでしばらく何もせずにぼーっとしていた。
そしたら腹は空いているかと聞かれたので首を横に振っておいた、あまりお腹は空いていなかった。
昨日大したもの食べてなかったのに、食欲自体はそんなになかったんだよね。
それから少ししてやっと頭が動き出したので、DM類と在庫の確認した。
特に急ぎの用はなさそうだった、在庫も何かが減りすぎているということもなかった。
そこまで確認して、今日はもう休むかって思った、たった二日だけだけど徹夜した疲れが出てるのかも。
やることもなかったし、夕ご飯はまた菓子パンを食べるつもりだったから準備いらないし。
それでぼーっと蛇の脱皮の動画見てたら同居人に名前呼ばれた。
なんだと思って振り返ったら「食え」ってちゃぶ台の上を指し示された。
指差された先には卵雑炊が。
どういうことだと同居人の顔を見上げたら、それなら食えるだろうって。
確かに食べられそうだけど、なんだって急に?
どういう風の吹き回し?
そしてなんで病人食? キサラギ食欲ないだけでそれ以外は健康よ?
困惑してたけど「さっさと食え」って睨まれたから慌てて身体を起こした。
卵雑炊はなんでかやたらと美味しかった、なんでこいつこんな料理上手なのって思った、何度目だこれ。
食べてる途中で「こっちは折れる気ねぇからな」って言われた、最初はなんのこっちゃって思ってたけど、数日前からの喧嘩の原因の事を言っているらしかった。
キサラギだって折れる気はなかった、そこまでの束縛を受ける気は無い。
キサラギだってたまには戦っておきたい、霊装の性能チェックもしたいし、感覚鈍るし、あと太ったし。
超久々に体重測ったら半年で5キロ以上増えてたんだよね、このままだとぶくぶくに太る。
出不精だから運動不足であるのはわかってたんだ、随分前から。このままだとさらに不健康になる。
だから霊石探しのついでにちょっと狩りもやろうかなって言って理不尽にキレられたのがことの発端だった。
太ったって言ったらむしろまだ痩せてるって言われた、もっと太れって言われた、ふざけんなって思った。
何が「簡単に折れそう」だよ、世辞じゃないのは分かり切ってるのでこいつの感覚が一般人及びキサラギとちょっとずれてるだけだ、怪力にそんなこと言われてもちっとも嬉しくない。
そんなことを言い合いながら話は平行線をたどった。
最終的にどうなればキサラギが狩りに行っても不安にならないのかって聞いたら「大家を一方的にボコボコにできるくらい強けりゃ心配しねぇよ」とか言われた。
そりゃあ大家さんを一方的にボコれるレベルなら不安にもならんでしょうね、無茶苦茶を言うんじゃないよ。
しかもそれでもまだ不安だとかほざきやがった、どれだけ過保護なんだと呆れた。
過保護にしたのはどこのどいつだとか言われた、勝手になっただけじゃんって言ったらデコピンされた。
同居人にとってキサラギはいつまでたってもどうしようもない扱いみたいだ、多分赤ん坊とかよりもずっと心配なレベルで弱くて脆くてどうしようもないっぽい。
さすがにその扱いには納得がいかない。
結局和解することなく今に至る、こちらとしても現状を維持するわけにはいかないのだ、多少は緩和してもらわねば困る。
というわけでもう寝る、起きてようかとも思ったけど疲れたので寝る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます