元カノの妹に脅されているんだが・・・

冴えないkitoki

プロローグ

元カノ。それは、ほとんどの人が語りたがらないエピソードだろう。

ましてやその元カノが、現役の誰もが一度は耳にしたことがある超人気声優だったら?

絶対に他言するわけにはいかない。

もし情報が流出したらオタクからは嫉妬され袋叩き、リア充からは質問攻めされるに決まっている。

酷ければ、ゴシップサイトやテレビなどでも晒されるかもしれない・・・

墓場まで持っていかなければならないエピソードだ。

だから見つからないように努力してたし、付き合っていたことを知っているのだって本当に一部だ。

それも、別れてから一か月後にまさかの元カノの家族に脅されるなんて夢にも思わなかった。



何故、俺がこんな話をしているのかというと、俺が人気声優と付き合っていたことが、流出寸前だからだ。

流出しようとしているのは、雑誌のカメラマン・・・・などではなく謎の美少女だ。

その美少女は今、俺の部屋に入り趣味のギターなどをまじまじ眺めている。

美少女が俺の部屋に入っているのに、まったくドキドキしない。

別の意味では絶賛ドキドキ中。

事の始まりは今日の放課後、後輩の美人で有名な女子が突然話しかけてきた。

そして、

「ちょっと校舎裏まで来てくれませんか?」

と。

可愛かったし、言われるがままについていった。ラブコメイベントが訪れるものだと思い込み、校舎裏についたら突然ある重要な写真を俺に見せてきた。

その写真はなんと俺と元カノがキスをしている写真だった。

それはまずい、まずすぎる。

「この写真をネットにあげられたくなかったら、先輩の部屋に連れてってください」

と言われ抵抗もできずに今に至る。最悪以外の何でもない。

「き、君の目的は?」

鼻歌を歌いながら楽器を見ていた彼女が振り返った。

「じゃあ、それを言う前に言質を取りますね」

俺の部屋の椅子に勝手に座る。

「せんぱ~い、私の頼み事何でも聞いてくれますか?」

「も、ものによる」

「えーとツウィ―トは・・・」

「分かった分かった!何でも聞くから!」

コイツ・・・言うことを聞かないなら発信しようとしてやがる・・・

「やったあ、嬉しい」

彼女が胸の前で手を合わせる。

突然立ち上がり、正座している俺の近距離に詰め寄ってきた。

もしかしてエロゲ展開か?勘違いするなよ、別に期待はしてないからな。

俺の顔の横に来て—

「私と一緒に歌を作りましょう」

耳元でそう囁いた。

・・・・は?

女子高生の思考は理解できない。


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