尊敬

 あれからはいつも通りに時が流れ、7時間目も過ぎ、ホームルームを終え、ゼミがあるので準備をしている。はっきりと正直に言おう。

――面倒臭い。

別に勉強は嫌いではない。努力をすればそれなりの結果が伴ってくる。しかもそれを定期的に数値として知れるのだ。しかし、そうはいかないモノなんてこの世の中にはごまんとあるのだろう。僕の一番身近な例としては俊人の絵が挙げられるだろう。努力をしたとて、その努力の値を数値で知れる訳でもあるまいし、実力が伴ったとて努力の結果が見える訳でも無い。そんな不明瞭な世界で結果をその眩い光を掴もうと一生懸命に努力する事が出来る俊人を、友としても芸術家としても尊敬する。しかし、そう考えると勉強とは楽なのだと、感じてしまう。かと言って、勉強というモノの中で良い結果を残してる人が凄く無いという訳では無い。努力をしてしっかりと良い結果を出す人は凄いと思う。僕はそういう「努力をする人」を尊敬したい。


「心ー、おい心、ゼミ行こう」

「ん、あぁ。すぐ行く」俊人の呼びかけに応じて、鞄を背負い、俊人を追いかける。

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