にんげん

人間いつだって思うに任せぬことはあって

誰もがやり切れない何かを抱えていて


苦しいことは早く去って欲しいし

でも名残惜しくて縋りつきたい時もある


命の終末を見守りながら

わたしはずっと、この矛盾に苛まれている


自身が歳を重ねてきたから

尚更、切実にそれを思う


見守るだけでなくて

いつか見守られる時のことを考える


戻る道のなくなった、この時間

往くものと見送るもの


どれだけ考えても正解こたえなど見つからない

見つかるはずはないのかもしれない


最期にやってくるこの哀切

愛するがゆえに苦しいこの時間は


心を持つ人間の証なのだろうから

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