歳月

二十年前に夫を看取った

気がつけばもう

そんなに時は流れていたのだった


人の死というものと

問答無用に向き合わされて

横っ面を張り飛ばされたようで


まだ若かったわたしは、ただ必死で

泳ぐというよりも沈まないように

手足だけをひたすら動かしていた


あれから、大切なひと達を何人も見送った

人生は別れの為にあるのかと天に問いかけ

その度に慟哭どうこくした


歳月は過ぎても

わたしは右往左往していて

見送ることに慣れるはずもなくて


それでも

その度に何かを受け取りながら

こうして生きている、生きてきた


大切なひとたちの想いと共に生きて

生き抜いたあとに

受け取ったものをしっかり胸に抱えて

一緒に空へと還っていけたらいいなと


想う


そのときに笑って迎えてもらえるように

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