ひとりの娘

庭の落ち葉が風に乗って

くるりくるりと踊っている


いつまでも暑いと思っていたのに

朝晩の肌寒さにカーディガンを引き寄せる


季節を何度も繰り返し

それなりに歳月を重ねながら

こうして生きてきたけれど


いつまでたっても

大人らしくなりきれない自分に

ふと、苦笑いする


情けないほどの弱気で

覆われてしまいそうになって


失ってしまいそうな言葉を探しながら

暮れていく空を見ていた



ただ、ひとりの娘として


病室の父を想いながら

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る