幾望の月

夜明け近くに、ふと目が覚めて

水を一杯飲んだ後


思い立ってカーテンの隙間から

空を見ると


月が


ハッとするほどくっきりと

そこに佇んでいた


満月にほんの少し足りないだけで

満月ほどに褒められるわけでもなく


ひっそりと

なのにその姿の何と清澄せいちょうなことか


満月の前の日の月を

そういえば幾望きぼうの月というのだった



夜明け前、沈んでいく月を

ずっと見つめていた


空が明るくなってくる


ああ、沈みゆくその月は

最後の瞬間ときまで


静かに美しかった

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