アンヴィジブル・ミラクル

 白煙が前方に抜けていく。ミサイルの航跡だ。一度外れたミサイルに引き返してくるほどのエネルギーは残っていない。

「ベイロン505、ソレスブリュック・ベースよりホットスクランブル、現着まで8分」

 無線でもミサイル警報が聞こえたのだろう。管制官は軍の戦闘機がこちらの救援に向かっていることを伝えてきた。

 シフナスはクジラのような暗いグレーに塗られていた。早くも後方に回りこもうとしてる。いくら旧式でも輸送機が旋回戦で勝てる相手ではない。スピリット・オブ・エタニティには自衛用の銃座もなかった。

「ボー」というロックオン警報は鳴りっぱなしだが、これだけ接近してGをかけていればミサイルは当てられないはずだ。上手いパイロットなら真後ろに食いついたりせずに距離をとってもう一度狙撃してきただろう。甘い戦い方で命拾いしたわけだ。


「ギグリ、機銃だ。機銃を防げるか?」エヴァレットは叫んだ。

「水平に戻して! Gで動けない」

「戻すぞ」

「いいわ」

 旋回をやめるということは相手の照準に自分から飛び込むということだ。

 ギグリはタイミングを合わせて側壁の出窓に飛びついた。左舷側だ。エヴァレットは慌てて左のラダーペダルを踏み込んだ。機体を左に捻る形になるから左後方に敵が見えるはずだ。

「ヴウウウウッ」と機銃の発射音が聞こえ、ほぼ同時に「カン、カカン!」と軽い衝撃が機体に走った。オーべクスに止められた銃弾の破片がぶつかってきているようだ。

「押さえられるか?」

「厚みが出せない。ぎりぎり」

 そのまま旋回を続けていると目の前に無数のオーべクスが見えてきた。砕かれなかった分が残っているのだ。

 翼に当たると割れて消え、機体側はコツンと軽い衝撃を受けるだけだった。オーべクス1枚1枚の強度はその程度、しかも高速で移動中なので空中で積層して強度を出すのが難しいのだ。


 シフナスは依然真後ろに張り付いたまま散発的に射撃を続けている。

「トルキス、ステアリングとペダル、この位置で維持してくれ」

「はい」

 エヴァレットは無線の受信機をサーチにいれた。もし相手が複数でかかってきているなら無線で連絡を取り合っているはずだ。

 そしてビンゴ。

「なにやってる。必中距離で狙えって言っただろう」

「ボス、15キロなら必中だよ。ロックオンを外しやがったんだ」

「いいから、いったん離れろ。奇跡に潰されるぞ」

「くそっ、急に防御が固くなった」

 叱責しているのは間違いなくゼーバッハの声だった。どこかでこの戦いを見ているのだ。交信から察するにシフナスは目の前の1機だけのようだった。空軍では2機以上での編隊運用が当然だが、1機調達するだけで精一杯だったのだろう。しかもパイロットも決してプロではない。きちんと軍隊で訓練を受けたパイロットならECMの対応くらいは知っているはずだ。

「そっちに行った」ギグリが言った。

「離れていきますよ」右舷側にいたプガッティが窓を覗き込んで声を上げた。

 シフナスがゼーバッハの指示通りに動いたようだ。


 しかしゼーバッハはどこにいる? 近くで見ているのではないのか。

 機首レーダーの走査方向や感度を調節してみたが反応はない。

「いいか、離れてスピードに乗せろ。その方が当たりやすいんだ」ゼーバッハが言った。

「ボス、赤外線誘導しか残ってない」とシフナスのパイロット。

 舌打ち。

「それなら後ろに回り込め。エンジンを狙うんだよ」


 エヴァレットはスロットルを引いた。エンジンパワーを下げたのだ。機体は徐々に右へ滑り始めた。

「何を?」とトルキスが訊いた。

「ランプドアを開く」

 タニンの胴体後部には貨物搬入用のスロープがついている。それを開けば真後ろが見えるはずだ。ただ高速で開くと気流が乱れて飛行が不安定になるのでスピードを落としているわけだ。

「操縦を頼む。まっすぐでいい」

 エヴァレットはキャビンを抜けて後部の与圧ドアを開けた。キャビンの後ろは素体のタニンと同じ貨物室が剥き出しになっている。ランプドアが開くと真っ青な空が広がり、そのど真ん中に敵機の小さな黒いシルエットが見えた。周囲の気流がドア内部の空気を掻き出そうとするような風を生んでいた。


「ギグリ、来てくれ」エヴァレットはドアを押さえたまま呼んだ。

「攻撃が止んだわね」

「後ろから来る。狙えるか?」

 ギグリは床に立て膝をついてドアの上に大きな光の鎚マレウス・ルクスを出現させた。オーベクスかと思うほどの大きさだったが、見る間に厚みを増し、十数秒で長さ5m、対辺1.5mほどの、それこそ破城槌のようなマレウス・ルクスが現れた。だが横から見ると1枚1枚のプレートの間にはまだ1cm程度の隙間があって見るからに脆そうだった。

 エヴァレットはキャビンに首を突っ込んだ。

「サフォン、手伝ってくれ」

「はい」サフォンは与圧ドアの戸枠に両翼を突っ張って両手を前に突き出した。それが特訓で編み出した奇跡の使い方らしい。

 新しいプレートが凄まじい勢いで増殖して破城槌の隙間をみっちりと埋めていった。横から見るとともはやプレートの境目がわからないほどで、直径まで一回り太くなったように見えた。

 これがサフォンの奇跡の力なのだろう。それにしては視覚的に何の効果もないというのは不思議だった。外から見てこんなに不明瞭な奇跡に出会ったのは初めてだ。


 だが感心している暇はなかった。

 敵機は3㎞ほどの距離まで接近して両翼からミサイルを撃ち出した。

 ギグリが床の上で握っていた手をパッと開くとマレウス・ルクスが弾かれたようにランプから飛び去っていった。

 マレウス・ルクスは1発のミサイルに正面から直撃して爆破、もう一発もその爆炎に巻き込んで誘爆させた。

 それでいて形状はまるで崩れていなかった。全く勢いを落とすことなく、そのままのベクトルでシフナスの機首に突っ込んだ。

 マレウス・ルクスが砕け散る。シフナスは機首が平たく潰れ、衝撃で全身の外板が波打った。瞬間的な加圧によってエンジンから炎が漏れると同時にコクピットも火を噴いた。爆発ではない。射出座席が機体に引っ掛かったままロケットに点火したのだ。

 シフナスはまるで渦に巻き込まれたようにとめどなくロールしながら墜落していった。


 ランプの縁から墜落の様子を見届けている間に雲海の中で何かが光るのを見た。

「下にいる」

 エヴァレットはそう呟いて操縦室に戻った。

「敵はたぶんあと1機です。レーダー警報が消えてから交信がない」トルキスは報告した。

「シフナスはやりました。もう1機は下にいる」

 エヴァレットは操縦席について操縦を代わった。機体を右に傾け、滑り落ちるように降下。先ほど機影を見た方角に機首を向けるとレーダーに映った。今まで上下の角度が悪かったのだ。

 だが雲のノイズが厚い。スクリーン上のシンボルは時折消えてはまた現れを繰り返していた。

 雲の下か。地表は海抜100mもない地域だが、一応墜落警報に注意しながら雲海に潜り、2500mで抜けた。

 機影もレーダー反応もない。雲海に隠れているのか。


 そう思った矢先、ほぼ真上からプープリエが現れた。エトルキア製の高速輸送機だ。

 プープリエはそのまま接近してきて天窓の上端に姿を消し、直後、機体を衝撃が襲った。体当たりだ。

 まるで痛みを訴えるようにアラームが鳴った。補助発電機損傷、後方警戒装置沈黙……。

 タニンは双垂直尾翼なので真上に腹打ちしていれば空力的には問題なく飛べるはずだ。

 高度を下げればフラムスフィアに押し付けられることになる。上昇に入れれば引き剥がせるか?

 しかし操縦輪を引いても手応えがなかった。舵が塞がっているのかもしれない。

「白兵戦!」ギグリが言った。

 輸送機ということは当然ゼーバッハ1人ではない。早くもロープを伝って後部から手下たちが乗り移ろうとしていた。しかもスーツではない。きちんとした軍用のボディアーマーを装着していた。

 銃声。

 ランプドアを開けたままだったことに気づいたが、すでに操作を受け付けなかった。相手も真っ先にドアの制御系を狙ったらしい。

 全員キャビンの中に入って物陰に体を隠し、当面ギグリのオーべクスで守りを固めた。

「耐えられるか?」

「このくらいいくらでも余裕よ」

 しかし少しずつ高度が下がっていた。いつまでも悠長にやっているわけにはいかない。

「マグダ、鎧を出してくれ」

「はいはい」ソファの後ろに隠れていたマグダは武者震いのようにぶるっと震えてから床下のトランクの蓋を開いた。まさか空中で着ることになるとは思わなかったが、こういう時のために持ってきたボディアーマーだ。上半身は自分で、足回りはマグダに頼んで装着、剣を腰に差して仕上がった。おまえ《も》白が似合うからとフェアチャイルドに特注してもらった純白の鎧だ。

「オーべクスで上の機体を押し出せないか。盾は代わる」

 ギグリは頷いて少しずつ後部ドアから離れた。

「トルキス、舵が戻ったら全力でステアリングを引け。みんな、振り落とされるなよ」

 エヴァレットはオーべクスの表面に鞘を押し当てて床に突き立て、「バウンス弾け!」と叫んだ。

 オーべクスが消え、魔術の力場に飛び込んだ銃弾が跳ね返った。2人の手下が跳弾にびっくりして身を屈めた。

 ただ、身を屈めつつも射撃はやめなかった。バウンスはオーベクスほど完璧な防御ではない。連射の手数で力場を通り抜けた銃弾が剣や鎧に跳ねた。そのためのフル装備だ。

 ギギギッと鋼鉄の軋む音が伝い、ランプドアの開口部に黒い影が走った。上に取りついていたプープリエが投げ出されたのだ。

 母機に命綱をつないだままの手下は揃って後方へ引っ張られ空中に投げ出された。


 機首上げのせいで床が傾いてくる。エヴァレットはその傾斜に任せて走り出し、プープリエめがけて跳躍した。ほぼ真下だ。バランスを取り戻そうと機首を上下に振っていた。

 手前に飛んできた命綱を切り落として一端を手繰り寄せ、手下を踏み台にして軌道修正、プープリエのフロントウィンドウに剣を突き立てて鞘を後ろに持ち、「ブラスト」と唱えてその勢いで突っ込んだ。

 ポリカーボネートの窓が撓み、パキッと罅が入った。エヴァレットはそこに踵を叩き込んで操縦室に押し入り、正面のパイロットを踏み潰しながら胴体の奥へ走り込んだ。貨物室にはゼーバッハが1人で残っていた。その手には切れた命綱が握られていた。助けてやろうとしたのかもしれない。なかなか部下思いな男だ。それとも味方が欲しかっただけか。

 ゼーバッハもやはりボディアーマーを身につけていた。ダークグレイで、一見金属製だ。

 もはや前置きはいらない。エヴァレットはゼーバッハの首をめがけて剣を振った。

 ゼーバッハは腕を上げて籠手こてで剣を受け止めた。

「こーん」と剣が震える。まるで刃が入らなかった。

 エヴァレットは剣を引いて左手で鞘を打ち込み、やはりガードされたが脇の隙間に剣を刺し込んだ。だがゼーバッハは顎を引いて鎧の襟で切っ先を受け止めた。おそろしく硬い鎧だ。

「こいつのおかげで命拾いしたよ」ゼーバッハは右手に持っていたマスクを捨てた。非常用の酸素マスクだ。

「崩落の時か」

 しかしフラムは呼吸器に留まらず粘膜にダメージを与える。ゼーバッハの目は真っ赤に充血していた。

「ずいぶん硬い鎧だな。エトルキア製か」

「ああ。おそらくあんたの想像通りだ」

 つまり装身タイプの触媒の一種なのだろう。

「だが硬いだけで勝とうなんて思ってないさ」

 ゼーバッハは背中の斧に手をかけた。

 エヴァレットは右手に鞘を持ち替えて横に振り出した。魔術なら鎧を切れるのか確かめようと思った。


 だが両者が打ち合うより先にゼーバッハの背後で天井がひしゃげ、上から下へマレウス・ルクスが突き抜けた。その衝撃で機体は岩でも乗り越えたみたいに動揺した。

 そして天井に開いた穴からギグリがくるりと飛び込んできて翼を広げた。目が合った。まるで「私にやらせろ」と言っているかのようだった。

 エヴァレットは鞘を下ろした。

 ゼーバッハはギグリの方を振り返ったが、その時にはすでに左右に分厚いオーべクスが現れ、彼の体を挟み込んでいた。

「ピシッ、バキッ」と音がして鎧が割れ始めた。

 ゼーバッハは呻っていた。オーべクスを押し返そうという意志や気合いではなく、もはや潰れゆく肉体そのものが絞り出す断末魔だった。

 ギグリは片側のオーべクスを消してゼーバッハの体を機体の側壁にぶち当て、さらにもう片側のオーべクスも消した上で細めの板剣ラミナで腹を串刺しにした。

 ゼーバッハはこの時点でもう事切れていただろう。口と鼻から滝のように血を垂れ流していた。

 しかしギグリはさらにオーべクスで周りの壁を切り取り、ゼーバッハを外へ放り出した。

 ただ単に放り出したわけではなかった。翼の下についているエンジンの吸気口を狙ったのだ。吸気口の奥ではタービンがぐるぐる回っていた。

 ゼーバッハは串刺しのまま吸気口に吸い込まれて姿を消し、その直後タービンの隙間が明るく発光して爆発が起きた。エンジンが吐き出す黒煙の中にもはやゼーバッハの面影はなかった。プープリエは戦闘機と同型のエンジンを使っている。直径1mほどの筒の中に空気圧縮用のタービンが10段以上仕込まれているのだ。彼の体は粉々に切り刻まれてしまったに違いなかった。

 ギグリもギグリで相当な恨みを募らせていたのだろう

 エヴァレットは操縦室に駆け込んで副操縦席の操縦桿を握った。プープリエは双発機だ。エンジン片方でもなんとか飛べる。

 だがギグリが後ろからエヴァレットを抱きかかえ、エヴァレットが砕いた窓の開口から外へ飛び出した。


 エヴァレットは剣を落とさないように鞘と鍔をしっかり握りしめた。

 プープリエはみるみる足元に遠ざかっていった。左のエンジンから黒い煙を引き、胴体には大穴が開いていた。痛々しい姿だ。

 エタニティは前方に見えた。スクランブルで駆けつけた空軍のアルサクルが2機、その周囲をゆったりと旋回していた。エタニティは両翼のエンジンポッドを立ててホバリングに移っていた。2人を収容するためにスピードを落としているのだ。タニンは垂直離着陸できる輸送機で、エタニティにもその機能は残してあった。体当たりのせいで背中の塗装が剥げて大きな擦り傷がついていた

 しかし考えてみればギグリは悠々と飛んでいた。フル装備のエヴァレットは100kg近いはずだ。それでいてほとんど羽ばたくことなく風を掴んでいるのだ。腕力の問題はあるだろうけど、一抱えほどのオーべクスが腹の下から体を押し上げていた。少し息苦しいが耐えられないほどではない。

「今度こそ始末したわね」

「ええ。エンジンに突っ込む前にもう死んでましたよ。2人でやって正解だった。あれはみんなには見せられない」

「ところで、様づけをやめたのはどさくさ紛れなの? それともそういう方針なの?」

 エヴァレットは答えに困った。指揮官と同じで、戦闘中はたとえ年上相手でも命令口調を使わなければならないという慣習の延長に過ぎなかったのだ。

「まあいいわ。好きにすればいい。あなたの方が主なのだから」ギグリは言った。

「まるで主感のない言われ方ですが」


 エタニティに後方から近づいてランプドアにタッチダウン、ギグリに放された惰性でそのまま歩いてキャビンに入った。マグダ、サフォン、プガッティ、みんな無事だ。トルキスは操縦室で無線の相手をしていた。

「点検のために最寄りの基地に緊急着陸してほしいと言ってきてます」

「そうしましょう。操縦を――」

「いいですよ。慣れたのでもう少し」トルキスはそう言って操縦を続けた。

 そうだ、鎧を脱がなければ。着たままでは席に入れない。

 ランプドアは開いたままだが、キャビンのドアを閉めたので吹き込みは収まっていた。

「サフォン、よくやってくれたわ」ギグリはソファに座ってサフォンを褒めていた。

「私の……その、奇跡? 効きましたか?」

「うん。感じたわ。今までより強かった。でも、そうね、名前をつけなければ」

「名前?」

「私の奇跡はオーべクス、マレウス・ルクス。そんなふうに」

「自分でつけたんですか?」

「自分じゃないわ。でも決まってるわけでもないもの。自由につけていいわ」

「ギグリ様、いいアイデアがありますか。私だとたぶんあまり言葉を知らないから」

「それなら、ピエタス。どうかしら」

「どういう意味なんでしょう」

「献身、貢献、奉仕」

献身ピエタス」サフォンは何度か口の中で繰り返した。「うん、いいですね。自分に合っているのかはわからないけど」

「そのうち慣れるわよ」

 鎧を脱いだエヴァレットが操縦を引き継いだところでギグリはトルキスに話しかけた。

「操縦お疲れ様だったわ」

 トルキスは肩の力を抜いて背凭れに寄りかかった。シートと背中の間で翼がぐーっと伸びて、ずずずっと羽根が擦れた。

「やはりサフォンは奇跡を使えるわね」

「どういった奇跡なんでしょう」

「おそらく息吹アドクラフトの一種でしょう。でも彼女の場合それで他の天使の奇跡を強化しているのよ。普通のアドクラフトは生き物には効かないわ」

「特性奇跡ですね」

「ええ。それから、前にも言ったけど、あなたは今までどおり彼女に接してあげて。お願いね」

 ギグリが肩に手を置くとトルキスは深く頷いた。

 

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