国と地名(2023/5/7更新)

(2021.9.18:国ごとの記載に改めました)


◆◆◆エトルキア◆◆◆


 世界7万棟のうち約3万棟の塔を支配下に収める大国。旧文明の研究が進んでおり、魔術も普及している。強大な軍事力を後ろ盾とした中央集権国家だが、地方行政を担う空軍事務所が設置されない島も辺境にはあり、国家としての機能が領域全体に行き渡っているとは言い難い。

 天使を旧文明人類の被造物であるとするイデオロギーが浸透しており、相対的な天使の地位は低い。

 首都はその容姿から「バラの街」と称されるラ・シェル・クレスパン=レゼ。



【タールベルグ】


 非武装空域近くに位置するエトルキアの辺境の工業島。他の型の島で処理できない廃棄物の受け入れと再資源化を担う工場が中核。エトルキア東部各地から貨物機を受け入れており、広大な中層甲板上に処理待ちのスクラップを積み上げたその姿から「ヤード」とも呼ばれる。

 塔機能の一部を喪失しており、人口は定員以下の約500人。原油の産出が比較的豊富で、あえて輸出するほど多くはないが、日常生活で消費できるほど少なくもない。燃料に関しては住民は潤沢に使用している。

 他の島との人的交流は少なく、自力で飛び出すのでなければ、エトルキア東部の地方都市フーブロンとを結ぶ定期貨物便に便乗するのが唯一の移動手段になっている。しかも行政機関が置かれていないため、チケットはフーブロンの空港に通信を送るか貨物機の乗員に直接頼まなければならない。



【フォート・アイゼン】


 エトルキア―ルフト国境に位置する要塞島廃墟。20年前、ルフト独立戦争の際に揚水機能を喪失したため放棄された。外的損傷はさほど大きくない。かつてはネーブルハイム同様、前線基地のひとつであり、高度な戦術的迎撃機能を持ち、戦闘機部隊が駐留していた。



【フォート・ネーブルハイム】


 エトルキア―ルフト国境に位置するエトルキア軍の要塞島。3枚の飛行場甲板を持ち、中下層に居住区、中上層に指揮管制区画と工場区画を持つ。人口は約5000人。当然居住島としての機能も要求されるため、体育館やショッピングモールなどの施設も内包する。

 外壁は装甲で覆われ、対空ミサイルや速射砲、ガトリング砲などの対空装備で防備している。

 ちなみにエトルキアの要塞島は原則としてブラックグレーで塗装され、中上層の3面に基地番号と島の名前を白書きする。ネーブルハイムの基地番号は"E58"



【フーブロン】


 東部エトルキアの地方都市の1つ。住居島であり人口は約7000人。元々国際線は乗り入れていなかったが、アイゼン回廊の開通後はベイロンとの間に定期便が就航している。タールベルグの西約60㎞に位置し、不定期ではあるものの貨客混載機によって相互路線が確保されている。



【サン=ジェルマン・イン・レ】


 中部エトルキアの首都近郊に位置する軍事島。エトルキア軍の中枢機能を有している。武装はほぼ中距離対空ミサイルと対空機銃のみと単体での戦闘機能は低いが、周囲を他の軍事島に囲まれており、全体としての防空能力は非常に高い。

 熱水による発電機能を喪失しており、電力は基底部に収監したアークエンジェルの奇跡を搾取することによって賄っている他、補助動力として小型の原子炉を備えている。



【ラ・シェル・クレスパン=レゼ】


 エトルキア首都。住居島。人口15万を誇り、用地・インフラ確保のために無計画な増築が繰り返された結果、甲板は上から下まで45層に及び、塔の外壁は配管とエレベーター坑に覆われている。全国からモノが集まるため、たとえ家が狭くてもレゼに住みたいという上昇志向の市民は少なくない。そうした人々が集まった結果比較的民主的な行政基盤を持ち、市長権限により島内における軍の行動は厳しく規制されている。



【フェスタル】


 レゼ東方、沿海に位置する工業島。しかし工場施設はほぼなく、倉庫施設に覆われ、広大な中層甲板はさらに拡大されて全域が飛行場として使われている。貨物取扱量は年間20万トンを超え、旅客利用の多いレゼに対し物流の中枢。



【フォート・スローン】


 レゼの北北西約50kmに位置する軍事島。軍事島ながら中層以下は工業島の構造を持つキメラ型であり、広大な中層飛行場を持つ。人口約5000人。エトルキア中部における偵察部隊と哨戒部隊の一大拠点であり、管轄空域は地球面積の1/8に相当する。



【フォート・ラークスパー】


 エトルキア中部大陸中西部に位置する工業島。生産機能よりも広大な中層甲板を活かした物流機能に重点を置いている。上層が軍事島型の閉鎖式工場区画になっており、直線的に伸びたそのシルエットから「キャンドル・ピラー」の異名を持つ。

 天使大隊根拠地であり、かつ塔の地下に伸びる大深度立坑の再現を目指すプロジェクトの中心地でもある。地上で核を用いた実験を行うため、周囲100km圏に進入禁止空域が設けられている。



【ベルビュー】


 大陸中部に位置する工業島。旧文明時代から希少金属の採掘が盛んであり、周囲には露天掘りの痕跡が点在している。

 特筆すべきは塔の南5kmに位置するガラス張りの地上建築「サロン」。内部は気密構造であり、ベルビューが供給する上空の空気で換気を行っている。内部には旧文明時代の植生が再現され、その中央には西部盗掘家連盟の本拠地であるオークションハウスが置かれている。



【グレナディーン】


 サンバレノ神話にも登場する天使たちの聖地。エトルキア南部島嶼エリアに位置し、かつて天使排斥の機運が高まった際、聖地の占領をおそれた天使たちがすべての甲板を破壊していったため、甲板を持たない針のような姿になっている。




◆◆◆ルフト連邦◆◆◆


 物語時間の20年ほど前にエトルキアから独立した連邦制勢力。エトルキアの東側に位置する。領域は約9000棟。文化的にはエトルキアと通じる面も多いが、より合理的思考・科学が重んじられており、「現代」科学・技術においてはエトルキアをリードしている。天使に対する偏見も薄い。

 独立戦争で戦場となった国境の島々の多くはルフト領に編入されており、戦災によって塔機能を喪失した島の住民の移住など、慢性的な人口問題を抱えている。その解決のため現代技術による塔機能の回復といった研究も盛ん。

 1棟~数十棟を束ねる都市の集合体であり、都市ごとの特色も多様。

 かつて独立の旗振り役を担ったソレスブリュックに連邦議会が置かれ、事実上の首都として機能している。



【ベイロン】


 ルフト西部に位置する行楽都市。行楽都市と呼ばれるものの、エトルキア時代は大学を中核とした学術島だったため、島の構造は都市型に準じている。市街地は下層の第1甲板と第2甲板に集中しており、中層の第3甲板から上は広い緑地が整備されている。

 下層の島周辺にはカジノやキャバレーなどが密集し、居住区は下層の外縁部に限られる。下層中心街や中層の博物施設等の労働者はトラムやロープウェーで通勤することになる。

 政体は公国制であり、カジノや博物館の運営、労働者の斡旋はもっぱら行政が行う。

 産業の中心にあるのがエアレースで、第1甲板の中心部にある飛行場がそのメッカ。通年何かしらの大会を開催してその様子を撮影、最上層にある電波塔から放送している。顧客のほとんどはルフト都市のテレビ局だが、少数エトルキアの都市も含まれているという。放映料によって得られる利益は莫大ゆえ、ベイロンの生活水準はエトルキアの首都にも劣らないと言われるほど高い。



【アルピナ】


 ルフト南東部に位置するリゾート島。地表標高が高く寒冷で、居住環境が悪いと判断されたのか塔の建設自体が途中で放棄されていた。甲板も最下層のみ。

 インフラの整備も不完全だったたため、エトルキア時代は木々を植えたり池を造成したりとビオトープのように運用されていた。したがってもともとリゾート島として開発されたわけではなく、ルフト独立以降に保護が消滅して別荘や観光・宿泊業者が進出していった。

 


【ノイエ・ソレス】


 ルフト北西部に位置するルフト連邦の首都。旧首都ソレスブリュックを含む3基の塔に囲まれた平地上にあり、ルフト独立と同時に建設が始まった人工地殻。完全に現代の技術で造られており、旧文明の塔を基盤とした島ではない。甲板は単層で高度約1500m付近に位置し、ほぼ円形をしている。直径は10kmあまりだが外縁部では今なお拡張工事が進んでいる。ゆくゆくは周囲の島を地続きにする計画のようである。

 現状、人工地殻は3000本を超す杭によって支えられている。杭自体の構造強度は塔に遠く及ばないものの、数でその不足を補っており、面積あたりの耐荷重は塔よりも大きい。従って中心部には他の島では見られないような摩天楼が林立している。



◆◆◆サンバレノ◆◆◆


 エトルキアの南に接する立憲君主制の小国。天使信仰を奉じる宗教国家。その教典はサンバレノ神話とも呼ばれる。他国に比べ圧倒的に天使人口が多く、強力な身分制が存在する。例えば議会は二院制で、上院は天使のみ、下院は人間のみによって構成されるが、下院は上院の諮問機関としての機能しか持たない。

 山岳地帯に位置するため他国に比べて島の平均標高が高く、天使街のある甲板は高度10000mを超えることもしばしば。

 一方フラムスフィアの上限高度を超える標高の山々もあり、山頂の周囲には依然として地上の街が存在する。



【オルメト】


 東部エトルキアとの国境地帯にあった塔。数百年前より機能喪失で放棄されていたがサンバレノが周辺での資源採掘に目をつけたことからエトルキアとの領有紛争に発展し、最終的にエトルキアが核ミサイルを使って周囲ごと消し飛ばした。



【ルクシオン】

 

 サンバレノ南端に位置する軍事島。サンバレノでは比較的低地。南に海が広がっているため他国との干渉が少ない安全地帯。補助(エンジェル)部隊のための各種教育機関が置かれている。



【ロタ・デル・ファト】


 サンバレノ中心部北壁に位置する住居島。天聖教会の総本山。中層に聖堂があり、塔全体が教会の所管というわけではない。下層には人間街があり、天使と人間の同居が黙認されている。エトルキアとの対立が激化した時代に工業労働力として奴隷を住まわせた名残といわれる。産品にはエンジェル向けの生活必需品も多く、中心部の塔に比べると天使同士の階層意識も比較的希薄。



【ヴェルチェレーゼ】

 サンバレノ北部に位置する住居島。グリフォンの飼育を一手に担う。工業のロタ・デル・ファトに対して牧畜に特化した塔。天聖教会優位、人間街があるのも同様。周辺の地上にはフラムの影響を受けない牧草地が広がっており、牛やヤギの放牧が盛ん。 




◆◆◆その他の地名◆◆◆


【ファロン空域】


 ルフト独立戦争の停戦条約によりエトルキアとルフトの国境に設けられた非武装空域の通称。条約が結ばれた島フォート・ファロンに由来する。空域はこの島を基準に東西とも100km、200kmの幅にわたって設定され、フライトプランの提出なくこの空域に入った航空機は無警告で攻撃されるおそれがある。

 空域内及び空域より相手側で生じた戦力の損害について双方の勢力は互いに賠償を求めることができない。

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