351球目 バルカンチェンジを使い過ぎない

 3回裏の浜甲はまこう打線は、あっさり3人(カラス烏丸宇宙人火星IQ156東代)で片付けられ、4回表の守備に移った。



 スコアは6-3。3点リードしているが、相手は平均13点の超強力打線だ。うかうかしていると、あっという間にひっくり返される。



 先頭の金文かなぶみを抑えれば、ムキムキ鳥獣人が打席に入る。東代とうだいがタイムを取って、マウンドに駆け寄ってくる。



「ミスター・ミズミヤ、バルカンチェンジ使いますよ」


「えっ? 鰐部わにべオンリーじゃなかったの?」



 バルカンチェンジを多投すると狙い打ちされるので、鰐部わにべのみに使うと事前に決めていた。



「ノー。イキノもワニベクラスのバッターです、トゥデイは。もう失点はノーサンキューです」


「OK。しっかり投げてやるよ」



 今のところ、バルカンチェンジは打たれていない。投げたの数人ぐらいだけど……。



 ストレートとスライダーを立て続けに打ってきて、カウント0-2に。遊び球ナシのバルカンチェンジで決める!



 目の前に青い鳥。猫は鳥を食べる。ネコは強い、スペースネコ、野球ネコ、バルカンチェンジ!



 生野いきのが羽をまき散らしながら振ってくる。そのまま空振れ――!



 ボールは沈む。生野いきののバットも沈む。



 バットに乗っかったボールは、センターのスコアボード下部へ飛んでいった。



「フェア、フェア!」



 2塁審判の手がグルグル回る。またしても1点失った……。浜甲はまこうのリードはあと2点。



(続く)

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